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発注制がスーパーの魚をダメにした!【鮮魚の仕入】市場に行かないバイヤー達

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今回は一つの問題提起です。

スーパーマーケットの鮮魚が大手を中心に魅力なくなってきていると感じているのは私だけでしょうか?

頭のついたピカピカキトキトな魚が売場にないのです。

>>魚屋だったら頭のついた魚を売ろう!【鮮魚の本質】基本に戻ろう!〜さかなのさ

魚の種類も少ないし、売場も決まったものしか並んでいません。

時代の変化や我々のライフスタイルの移り変わりなどさまざまな要因が考えられますが以前に比べるとかなり生魚の露出頻度が少なくなっているように思います。

もちろん漁獲量の減少や昨今の値上げラッシュの影響も多々あると思います。

しかしスーパーの鮮魚内部にいるとそんな外部的な理由よりも鮮魚の内部的要因の方がより影響していると思われることがあるのです。

それは、生魚の発注仕入の仕組みのことです。

「鮮魚の発注制がスーパーの鮮魚をダメにした」

と私は思っています。

どうことでしょうか?

みなさんもあまり意識したことがないところかもしれません。

しかし実はこれがすごく鮮魚の本質にかかわるところで重要なのです。

今回はスーパー内部の鮮魚の受発注の仕組みについて紹介したいと思います。

合わせて魚の仕入れってどうなっているのかについても触れてみたいと思います。

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鮮魚の買付方法

メッキダイ

アジやサバ、タイ、スルメイカのような生魚の買付方法として店発注制バイヤー買付制の2つのタイプがあります。

店発注制とは、店がほしい魚を発注してほしい数を納品してもらう仕組みです。

本部でなく店側にイニシアチブがある買付方法になります。

それに対してバイヤー買付制は裁量を持った仕入担当者が売れると思って買い付けた魚を各店へ配分して納品する仕組みです。

これはバイヤーがイニシアチブを持った買付方法です。

今でいうと大手スーパーを中心に店発注制を採用する店舗が多い状況です。

実際販売する店からすると店発注制の方が良さそうに思います。

しかしながらこの仕組みにすると結局鮮魚はダメになっていきます。

詳しく説明します。

鮮魚の発注方法

昔はすべて電話やファックスで受発注していました。

しかし最近ではEOSやEOBなどの媒体を使ってデータで発注するようになりました。

店で発注する仕組みです。

店舗が多い店や仕入れ担当する人がいないお店ではとても便利な仕組みです。

このデータでの発注制のおかげで伝票や請求の事務負担もかなり減りました。

発注データが連動しているからです。

また転記間違いなども減り、非常にメリットが大きい仕組みといえます。

ちなみに、

EOSとはElectric Ordering Systemのことで企業間の発注を電子的なデータで受発注の仕組みのこと

です。

EOBはElectiric Order Bookの略で紙の発注台帳ではなく電子化されたブック型の発注台帳のこと

をいいます。

EOS → EOBの順で進化していきました。

いずれも紙や電話で発注していたことに対し効率的に電子的な処理をするために考え出された仕組みです。

今の時代この電子的な受発注の仕組みなくして企業間の受発注は成り立たないといってもいいほどです。

これにより鮮魚の発注も店発注に切り替えるところが増えていきました。

鮮魚の発注制の二つのタイプ

このように生鮮部門の発注もEOSやEOBを使ってデータでやり取り可能ということになりました。

もちろん不定貫でもデータでやりとりできます。

データでやり取りすると言っても細かく見ると2つパターンあります。

発注データの2つの送り方
  1. そのデータがそのまま直接取引先に送られる場合
  2. 本部のバイヤーに向けて送られてその後バイヤーから仕入先に発注ないしは買付をする場合

電子データでも二通りの送り方のパターンがあります。

店の発注に対しバイヤーがかかわりがあるかどうかの違いです。

取引先に直接そのままデータが送られる場合

これは店の発注の後、発注データがそのまま取引先に送信される仕組みです。

シンプルな仕組みでそのまま取引先にデータがいってしまいます。

バイヤーや仕入れ担当者が全く関われない点が問題になります。

相場が安い時はいいですが高い時でも発注がある限り店には発注した数が納品されたりします。

店としては安いと思って発注したのが高かったりするので困ってしまいます。

微調整はあるにしても店はつらいものです。

発注を受けた市場仲買というものは発注がある限りある程度高くても買い付けて店に納品する習性があります。

自分たちの売上にしたいからです。

そんなことが多々あります。

店の期待に合わせるのはなかなか難しいわけです。

なぜなら一企業一店舗の思惑よりも公的機関の市場相場の方が圧倒的に優位に立つからです。

そこで、発注データにバイヤーがなんらかの関与したいと要請がでてくるのです。

ただシステム的やろうとするとシンプルな仕組みを複雑にすることなるのであきらめる企業も多く、結局バイヤーがかかわれないままという場合も多いのが現状です。

発注データにバイヤーが一旦関われる場合

それでもなんとかバイヤーを関与させたいときは一部商品だけを本部を一つの取引先に見立てて店に発注させる仕組みを作ったりします。

店の発注データを本部などで集約される仕組みがある場合でも可能です。

これは発注制を前提としながらもバイヤーがかかわれて調整ができるパターンです。

バイヤーの方で相場に合わせて納品数量を調整できる点がメリットです。

ただバイヤーが集計のために夕方処理をしないといけないので労務管理的にはバイヤーの負担が重い仕組みといえます。

特に日曜日など市場がなくてもバイヤーが本部などに出てこないといけなかったりするので長い目で見るとしんどい仕組みといえます。

店発注制の大きな問題点

鮮魚売場

いずれも店が主体性を持てる点がメリットになるでしょうが実際に相場情報持たない店舗が発注する点が問題です。

要は値段がわからないのに発注しようがないということです。

※正確にいうと漁獲数とセリ値の予測情報は店に流れてきますがセリ値まではわかりません。

先ほどもありましたが、思い切って発注した時にたまたま相場高で高い魚を入れられたりすると本当に店は困ってしまうので結果的には思い切った発注ができなくなります。

結果的には店の発注は1しかできないということになります。

もちろん相場情報ももらったりもするのですが、基本当てにならないので店としてはリスクを恐れて発注を躊躇してしまいます。

高かろうが安かろうが発注数は最小限の1箱しか上がらなくなります。

現状多くの店がそうなっています。

ここが一番の問題です。

逆に相場安い時でも店は1箱しか発注しようがないのです。

安いかどうかはセリをしてみないとわからないわけですから。

発注を受ける仲買にとってはたとえ安いと思っても、発注1箱であればそれ以上の数を納品することはしにくいわけです。

そんな感じで店発注制をとっているところは徐々に魚の仕入れが少なくなっていきました。

もう一つの発注制の問題点は、人は大変な思いをしたくないと思うので、無意識に発注数を少なめにするということです。

労働時間も限られたりもするので無理しないように発注したりします。

人によっては売れようが売れまいが毎日同じ数量しか発注しないなんてことも起こります。

よほど意識が高い担当者でないと発注制の場合は結局売りが落ちてしまいます。

これも発注制の大きな問題点と言えるでしょう。

バイヤー買付制とは

市場の様子

これに対してはバイヤー買付制は店の発注が必要なくバイヤーが市場に行ってその時の相場の流れで買付して店へ配分する仕組みです。

バイヤーの裁量に委ねる仕入れ方法です。

バイヤーが市場に行くのでセリの結果を見て相場に合わせて買い付け数量を調整できます。

経験豊富なバイヤーが相場を見てその店で売れそうな魚、数量を店に納品できるのです。

私は鮮魚の仕入れはこの仕組みであるべきだと思います。

高い時は納品数量を少なくして安い時にはたくさん仕入れられます。

変わった魚種も相場を見て入れることができます。

お客さんにとっては安い魚が買えることになります。

うまく機能すれば最高の仕入れ方ができます。

なので少し無理してでもバイヤー買付制を取るべきだと思っています。

バイヤー買付制の問題点

ただこのバイヤー買付制にも問題点があります。

それは買付の技量が高いバイヤーならいいですが、技量の低いバイヤーもいます。

能力の低いバイヤーであれば全店の仕入れがうまくいかないことになります。

適当な数を入れられた店の負担多くなって労働時間が多くなったり、処理しきれずロスが増えたりします。

結果利益が出せないということになります。

特定の個人の力量に依存しているところが逆に問題になるわけです。

高度な買付技術が求められる点も経験年数を要しハードルが高いわけです。

休日の発注取りが必要だったりしてバイヤー自身の負担も大きい点もデメリットといえます。

ただし今あげた個々の問題点は解決できるレベルに過ぎないと思います。

それらを足し引きしても繁盛する鮮魚店、鮮魚部門にしたいときはこのバイヤー買付制が必須だと思います。

繁盛している鮮魚店を見るとほとんどこのバイヤー買付制を採用しているので鮮魚が弱体化しているお店はまずここを見直すべきと考えます。

30店舗以上なら発注制もやむをえない

ただ店舗数の多い店は発注制もやむを得ません。

数でいうと20店舗以上になったら発注制をほとんどの部分で取り入れざるを得ないでしょう。

バイヤーが複数いたとしても発注処理をしきれないからです。

先ほど述べた発注制の問題点がまさしく露呈してくるわけです。

なので店舗数が増えれば増えるほど1店舗あたりの魚売る力は弱まっていきます。

大手スーパーが生魚の販売が強くないのはこういうことからも伺えます。

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発注制と買付制の併用

柳ばちめ

店発注制とバイヤー買付制を併用することも可能です。

相場に関係しないものを発注制にするというやり方です。

いわゆる49コード(Janコード)がついている商品です。

アウトパック商品を店発注制にするのは特に問題にならないと思います。

それで相場もの、セリで値段が決まる魚をバイヤー買付制にするのでもいいです。

この辺の調整はみなさんもすでにされているところだと思います。

バイヤー買付制こそが鮮魚復活の道

やはり20店舗以下のスーパーはバイヤー買付制にしないとうまくいかないはずです。

相場を見て調整できるバイヤー制はいろんな自由が効くからです。

とするとローカルの中小規模のスーパーはこのバイヤー発注制が大手スーパーとの差別化の一丁目一番地になります。

鮮魚を強くしたければバイヤー買付制を採用すべきです。

そもそもバイヤーが市場にいかないというのでは話になりません。

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まとめ

ローカルのスーパーが大手スーパーに勝てるはまさにバイヤー買付制をとって実際毎日市場で買付する仕組みをつくれたときです。

今発注制をとっているところはもう一度原点に帰ってバイヤー買付制を取り入れることを考えてみましょう。

そうすれば魚屋も復活します。

市場にいかないバイヤーが増えているという事実も見逃してはいけません。

そもそもバイヤーは市場に行って魚を買い付けしましょうねということです。

バイヤー買付制を採用したいという店舗あればバイヤー教育も含め全力でリッキーが応援します。

仕入れノウハウや商品分類の作り方、モチベーションの高め方まで指導します。

まずはリモートでやりましょう。

ぜひ声をかけてください。

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リッキー
鮮魚アドバイザー・刺身インストラクター・現役水産バイヤー 30年間培った鮮魚の販売、加工、管理技術を初心者に向けてわかりやすく解説。 なかなか教えてくれない秘技裏技も惜しげもなく公開。 一般向けにはみんなが笑顔になるお刺身の作り方ご案内。 すべてが魚食好きの人のために!日夜リアル、WEBで奮闘しています。 有限会社西村研究室(水産コンサルタント事務所)所属