金沢の夏のおさかなネタをひとつ。
上の魚みたことありますか?
みためはグロテスクなさかな。
皮を剥いでから料理します。
【和名】
舌平目 ウシノシタ(クロ)
【金沢名】
ねじらがれい、夏がれい
【特徴】
舌平目は身質がきめ細かくヒラメらしい味わいが特徴。ムニエル・バター焼きがとってもおいしい魚です。フランス料理などの洋食に使われることも多いです。
舌平目というのが一般的
みなさんおそらく舌平目という言い方の方が馴染み深いと思います。
そして赤い舌平目を「アカシタ」といい、黒い舌平目を「クロシタ」と呼んだりします。
主に夏にとれる魚ということです。
調理師学校などで冬に実技試験があったりすると大変なんですね。調達に苦労しているという話を聞きます。冷凍の舌平目を無理やり東京から送ってもらっているのでしょうか?
金沢では舌平目を「ねじらがれい」と呼びカレイ扱いにします
ところがカレイ好きの金沢ではこの舌平目をどうしてもれいにしたいようです。
「ねじらがれい」といったりします。「ねずり」「ねずら」という言い方をする地域もあるようです。
海の底で寝ているように擦って動くからこんな名前がついたんでしょうか?正確なところはわかりませんが雰囲気はわかりますね。
いずれにせよ、魚の名前は地方で言い方が変わったりすることも往々にしてあるのでこの「ねじらがれい」も金沢独自の呼び方なんでしょう。
ただ、注目してほしいのが「かれい」がついている点です。
「ひらめ」が「かれい」に変わってしまうのもどうかなと思いますが、金沢ではなんとしてでもかれいにしたいわけです。
これはどういうことでしょうか?
舌平目を「かれい」にしたい理由
これはリッキーの想像というかいろいろ考えた上に出てきた結論です。
ただ、説明を聞けばみなさん納得してくれると思うのであながち荒唐無稽なものでもないと思っています。
というのも、
こんな風に呼ぶことには販売するお店の思惑が強く働いているとおもわれます。
もともと金沢もご年配の人が多い土地柄です。そしご年配の方々はみなさん魚をよく食べます。特にかれいの煮付けなんかよく好まれます。
そして昔から近くの港で近海のかれいがたくさん獲れてかれいを食べ慣れているわけです。
ところが夏なると底曳漁が禁漁(7〜8月)となるためかれいの入荷が一気に少なくなるという事情があります。
そして反対に夏にたくさん水揚げされるのがこの舌平目になります。
舌平目といった場合、完全に洋風イメージです。舌平目=洋食=ムニエル、ポワレとこんなイメージになるでしょうか。
先ほど言いましたけどご年配の方すなわちじいちゃんばあちゃんは晩飯にポワレとか食べないですよね。田舎のお年寄が洋風の料理あまりしませんもんね。やっぱり煮付けですよ。晩飯でも煮付けを食べたいんですよ。
ということで舌平目といってるかぎり金沢あたりではさっぱり売れないわけです。舌平目といって売るとほとんど残ってしまうのです。舌平目=売れない=売らないという店もあるくらいです。
そこで昔の魚屋さんは考えたんでしょう!
夏に沢山獲れるこの舌平目をかれいにできないものかと。かれいではあれば魚料理の基本中の基本「煮付け」ができるわけです。「煮付け」ならお年寄りも喜んで料理します。実際この舌平目は煮付けでもとってもおいしいのです。
そこでたまたま既にあった地方名の「ねずり」にかれいをつけてみたらどうだろうということになったわけです。確かに外見もかれいに似ているといえば似ています。
売ってみてビックリ!舌平目と呼んでいた時以上によく売れたというわけです。
そして「ねずりがれい」がなまって「ねじらがれい」となったというです。
すみません。これはあくまで私の想像です。でも遠からずそんなところだろうということもわかるでしょう!
店からすると「ねじらかれい」だよ、煮付けがおいしいよといって販売できるのは大きなメリットになるわけです。残って困っていた舌平目がかれいになった途端売れ始めるわけですからよしOK!になるわけです。
そんなことから金沢では「舌平目」のことを「ねじらがれい」とよぶのです。
昔はそんな感じで名前もつけられたりしていたんでしょうね。
ちなみにやはり「ねじら」は海の底でクネクネとしている様子「寝擦り(ねすり)、ねずら」がなまったものという説が有力のようです。
まとめ
さかなの名前というのは地方で様々です。ある意味自由だったはずです。昔はそれでよかったんですね。
ただ、今でも地方名で呼んだり、表示したりすることは誤解を招かない範囲で認められているものだと思います。
こう考えるとおもしろいですね。
みなさんのところでは舌平目をかれいと呼ぶところはあるんでしょうか?
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