冒頭からいきなり物騒な話題ですみません。
みなさん「医者殺し」という食べ物の話ご存知ですか?
新潟出身のリッキーは子供の頃からこの「医者殺し」なるものを食べてきました。
一応食べ物のことです。
知っている方は今となっては少ないかもしれません。
今新潟にいる人もそんなの知らないよ!と言われる人の方が多いかもしれません。
言葉だけでイメージするとちょっとグロい感じかもしれませんがレッキとした食べ物なのです。
それも栄養満点で子供の頃に食べろ食べろと言われてきたものなのです。
今回はこの「医者殺し」という食べ物についてお話ししたいと思います。
目次
医者殺しの正体は?
もったぶってもしょうがないので先に答えを言ってしまいます。
「医者殺し」は新潟で食べられているお吸い物、お汁のことです。
どんなお吸い物かというと、
鮭の骨や皮にお湯を注いだだけのシンプルなお汁
なのです。
「鮭の骨っ!? 皮っ!!」
ですよね。
それも、
「お湯を注いだだけ!?」
ってことですね。
なんで鮭の骨や皮が出てくるかというと鮭の塩焼きを食べた後に骨やヒレ、皮が残りますよね。
それを使うのです。
いってみれば食べ終わった残といえるでしょう。
塩や調味料など全く入れません。
ただお湯を注いだだけのものでした。
これが栄養あるんだよということで親に食べさせられた記憶があるのです。
おそらくウチだけではなかった思います。
新潟といえば鮭
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みなさんもご存知の通り、新潟は鮭を食べるところですね。
村上の塩引鮭は全国的にも有名ですね。
日常の食卓に鮭が出ない日はないと言われるほど鮭をよく食べる地域です。
鮭の卵である塩筋子もよく食べたりします。
セブンイレブンのおにぎりの棚に筋子しかないということもあったりします。
お正月のお雑煮にも鮭の切身が入ります。
富山以西がブリ中心なのとよく比較されますね。
ということで、新潟では毎日のように鮭が食べられるわけです。
昔は鮭といえば新巻鮭
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今、スーパーに並んでいる鮭の切身はチリ産の甘塩銀鮭が多いと思います。
チラシに入るのもほとんどこの塩銀鮭といってもいいくらいです。
安くてそれなりにおいしいということですね。
実はこの銀鮭は養殖物です。
しかも流通するときは既に頭やカマ、骨を取り除いたフィレという状態で冷凍で入荷します。
おそらくほとんどのスーパーで扱っているのはこのフィレか切身になったものを使います。
お店からすると作業がとっても楽です。
この銀鮭が普及したのはここ20年くらいです。
その前からあったことはあったのですが養殖の餌の匂いが強くて人気がなかったのです。
その後餌が改良されその養殖臭も抑えられて一気に普及していったのです。
それまでは鮭の主流は天然の秋鮭を丸ごと塩した新巻鮭でした。
木箱に入った塩まみれの鮭を1尾づつお店で切っていたのです。
天然なので美味しかったことは美味しかったのですがなにせものすごく塩辛かったのです。
それが当たり前のようにご飯のおかずで出されていたのです。
また、昔は食べるものも質素だったということもあります。
白飯とたくあんと塩鮭でご飯を食べていたりしたのです。
なんで医者殺しというのか?
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その塩っからい新巻鮭を食べた後に骨や皮が残ります。
それを食べ終わったご飯茶碗に鮭の骨や皮を入れます。
これに沸騰した熱々のお湯をかけたらもう出来上がりです。
特にレシピは必要ないほどです。
これをすすって飲みます。
骨や皮から滲み出てくる栄養がたっぷりで身体も元気になるようだというわけです。
もともと塩っ辛い塩鮭からの塩加減もほどよくて栄養満点ということです。
栄養満点で元気な人が増えるとお医者さんがいく人が少なくなり商売あがったりになります。
鮭の骨皮はお医者さんが病院をやっていけなくなるほど栄養価の高い食べ物だといいたいわけです。
時代背景として地方の田舎町では日頃から質素な食生活だったということもあったのでしょう。
現代では流石にそこまでは、というような気がしますが、昔の人はそんな風に思っていたし言っていたのです。
ちなみに骨自体は食べたりしません。
鮭の骨や皮の栄養素は?
ところで鮭の骨や皮にはどんな栄養素があるのでしょう。
ちょっと気になります。
鮭の骨や皮には次の栄養素が含まれているといわれています。
カルシウム・リン・マグネシウム・ビタミンD・葉酸・アミノ酸
このように栄養価高いものがたくさん含まれています。
さらに、コラーゲンも含まれています。
コラーゲンは単に美容お肌にいい作用をもたらすということだけでなく、それが減少したりすると身体や臓器にまで影響してしまうといわれています。
また。鮭の骨にもドコサヘキサエン酸(DHA)やエンコサペンタ塩酸(EPA)含まれています。
ともに血液サラサラにしてくれ血管を健康にしてくれる作用があります。
特にDHAは脳細胞を活性化させ、記憶力を向上させてくれる作用もあるといわれています。
鮭の骨や皮にはそれ以外にもビタミンB群やビタミンCなど様々な栄養素が含まれているのです。
医者殺しの味は?
煮干しや鰹節の出汁に塩を入れただけのような素朴な味わいです。
ほんのりとあまいささやくような旨味がこの「医者殺し」にはあります。
天然の塩鮭から滲み出てくる脂が全体を包み込むようにまろやかにしてくれます。
さらには焼いた皮の香ばしさもあります。
ご飯茶碗を使っているので白米の甘味も加わってきます。
フォースプラトン、フォースパンチといった感じでしょうか。※すみません、プロレスネタです。
確かに栄養満点なお汁、お吸い物の味がします。
赤魚開きを焼いたもので「医者殺し」してみました!
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別に鮭でなくても「医者殺し」はできると思います。
先日やったのが赤魚の開きを焼いたものでやってみました。
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うまくできたと思います。
しっかり骨から旨みは出てました。
ただ、赤魚開き自体、塩辛くないのでそのままだと薄いです。ちょっと食塩をふりました。
それだけでメチャクチャ美味しかったです。
要は焼いた魚の骨や皮を使えばいいのです。
まとめ
実際それでお医者さんが商売あがったりになるかどうかは関係ないのかもしれません。
それより鮭の食べ残した骨や皮まで美味しく食べるという食に対する当時の人々の思いが強く感じられるということがわかるだけでもいいのかなと思います。
飽食といわれた時代を経て、フードロスなどを問題視する今の時代において食べ物を大切にする食べ尽くすという正に原点じゃないのかと思います。
「医者殺し」という言葉は、
命のあるものを食べなければいけないという人間の背負うの業の中で、食べ物になってくれたものをありがたく食べる、食べ切る、食べ尽くすということがどんなに大事なことかを教えてくれる言葉だと思いました。
久しぶりに食べてみたいと思います。
<終わり>
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