今回は鮮魚仕入方法について極意を伝授したいと思います。
実際リアルに使える技ですのでぜひ参考にしてみてください。
そのお店の魚の鮮度がいいか悪いかはバイヤーの仕入れで決まります。
そこがしっかり機能してないと店全体の評判が落ちるわけです。
これはある意味、ボーッと惰性で買付しているバイヤーに喝を与える内容でもありますので経営者の方も一緒にご覧いただけると幸いです。
目次
鮮魚バイヤーは朝は早くて大変な仕事
全国の魚市場で早朝から鮮魚のセリが行われることが多いと思います。
例えば私のいっている金沢の中央市場は日本で一番早い「競り」ということでam3:30から始まります。
朝といっても3時過ぎからいっていますのほとんど夜中ですね。
もちろんセリに参加する人たちはギリギリに行くわけではなく夜の1時か2時頃にでて先に並んでいる魚群を品定めしています。
金沢中央市場は産地発送市場としてこのくらいの時間から競りをすることで北陸近隣の県にも午前中のうちの魚が届けることができるのです。
さすがに今はリッキーはそこまで早くはいきませんが以前セリに参加している時は2時起きして行ってました。
結構しんどいですが慣れればなんとかなるものです。
ここまで早くないにしても全国の市場、港で似たような状況があるのではないでしょうか。
金沢中央卸売市場(鮮魚)の朝の様子
セリが終わるのが早い時は4時過ぎ、遅い時は6時近くまでかかる時があります。
競りが遅くなれば遅くなるほどセリに参加している人たちの気が立ってきます。
発送仲買もいて4時半頃には荷物を出さないといけないのでイライラするのがわかるわけです。
我々小売りは競りが遅くなるとそれだけ値段が落ちるのでありがたいわけですが仲買の人たちはその後の配達もあるのでそんなこといってられず早く買いたいのです。
時に声を荒げる人もいて緊張感MAXです。
競りが終わると競り落とした魚の箱を仲買達が自分の売り場へ移動させる作業が始まります。
特殊な台車を使います。通称ガラガラ。
主にアルバイトの人や新人君たちが移動の役割を果たします。
長い柄を持って引っ張っている姿をよく見ます。
で、量販店や回転寿司の仕入れ担当者の買付はam4:00から始まります。
仲買の店先に魚が並ぶとスーパーマーケットのバイヤーや回転すしのバイヤー、大手飲食店のバイヤー、温泉地ホテルのバイヤーが我先に仲買が競りで落とした魚を買い付けていきます。
仲買の開店です。
人気の仲買は人で溢れかえります。
ただ最近では街の魚屋さんはめっきり数が少なくなっているようで盛り上がりも一瞬で終わる感じになっています。
魚の買付の上手い下手は経験力と即断力で決まる!
リッキーも4時ごろから30分ほどの間で30種類ほどの魚と冷凍特種ものを順々に買い付けていきます。
30〜45分くらいの間にやってしまわないといけないので一つの魚種に時間をかけていられません。
大体10〜30秒くらいです。これ冗談ではありません。本当にこれしかかけれらないのです。
一瞬だけ魚の状態や荷姿を見て仲買担当者に数をいって次の魚に移っていきます。
TVでよく寿司屋の大将が1尾か2尾の魚を見てふ〜んとか言いながらジロジロみて吟味するというシーンがありますが量販店のバイヤーではあり得ないです。
早くしないと他のバイヤーに他の良い魚が持っていかれるからです。
事前発注される店もありますがここでは全く意味をなしません。
直接市場に来た人が優先になります。
事前発注はその残ったものが割り当てられるといった感じです。
掘り出し物や特に安いものは結局全部買われ事前発注の方には回りません。
仲買担当者は事前発注の店にはなかったと報告するだけです。
市場は暗黙の了解として実際にいった人優先という不文律があるのです。
実際に魚を全部見れているわけではない
まあ、自分も最初の頃はトロ箱の蓋をわざわざ開けて魚の腹の部分を触ったりもったりして吟味していましたが最近ではそこまでしないようになりました。
ちょっとそれだと全部回りきれないからです。
もちろん確認はしますがほとんど一瞬で判断するくらいしかできません。
ただ毎日毎日買い付けにいっているので、どこの産地でいつ取れたかさえわかれば大体状態がわかるようになりました。
あと船名でどんな扱いをする船かもわかるようになりました。
幸か不幸か金沢の市場は産地市場のためそこまでひどい鮮度悪い魚はあまり出ません。
シケの時に他の産地のとめもの鮮度が劣化したものが出るくらいです。
それはそれで見ればわかります。
しっかりとした仲買担当者と付き合えば基本そんなに悪い魚は出ないのです。
慣れてきたら魚を見るより人を見ろ!
とすると大事になってくるのは魚を売ってくれる人ということになります。
私たちでいうと仲買さんになりますが担当者の目利き、扱いの技術、産地の情報取得能力に各人それぞれ力量が違うわけです。
そこで私が重要視しているのがその担当者の人間性です。
売る人の性格、素直さ、商いの考え方がしっかりしていればその扱う魚もしっかりしているということがわかりました。
売っている人の人柄さえ分かれば一個一個魚を確認しなくても良いということに気づいたのです。
こういうとすぐ騙されてしまうよ、そんなうまい話ばかりじゃないよ言われます。
ただ買った後店で魚を確認するのですぐわかります。
なので売る方も気が抜けないということです。
さすがに何十年も魚の買付をしていると魚を売る人のクセはすぐ見抜くことができるようになりました。
毎日その店に行けば店の方針もわかってきますし、担当者のクセもわかるようになります。
その意味でいろんなところで買い付けするのではなく、基本買うところはある程度固定すべきです。
少なくとも魚種別でいいので担当者を固定すべきなのかなと思います。
バイイングパワーもつきますし、担当者の個性を把握するのも比較的容易だからです。
そんなこともあって最近ではリッキー実際物を見ずに人を見て魚を買うことも正直多くなりました。
それでもほとんど鮮度悪い魚が入ってくるということはないです。
もっというとこの人は、B品しかススメない人だとかこの人に任せておけば間違いない鮮度の魚を出してくれるとか手にとるようにわかるようになりました。
信頼できる人が多くなれば買付も楽になります。
おかげでほとんど買付時間もかなり短縮できるようになりました。
それでいてしっかり一通りの魚は買い付けできるということです。
もう一ついうと不良品が出た時に快く返品を受けてもらえるような環境にしないといけません。
不良品は必ず出ます。
その時に交換や返品を躊躇するような相手ではダメなのです。
いつも買っていれば良心的なところであれば必ず返品を受け付けてくれます。
もちろん嫌味なしで受け付けてくれるはずです。
そのためにもあまりいろんなところで浮気して買わないことです。
少なくともこの魚種はあなたのところがメインですよという形にしないといけません。
これが大事なことなのです。
最後に
仕入れというのは時にハッタリも示さなければいけないですし誠実さも表現しないといけません。
仕入れた後のストーリーもある程度把握できる処理能力も必要です。
それ以上に周りに信頼できる人がどれだく多く置くかがとても大事になります。
これが魚の仕入の極意中の極意といえるでしょう。
そして魚の仕入だけでなくありとあらゆる取引にも共通することではないでしょうか!
<終わり>
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