なにげに数の子っておいしいですよね。
ただ、年々数の子の消費は減ってきていると言われています。
まず若い人たちが食べないって言われたりしています。
実際、お正月以外に食べることはないですね。
ただ回転寿司やカズチーの大ヒットで数の子の美味しさも見直されているようでもあります。
今回あらためておいしい数の子ってどんなの?というテーマで少し解説してみたいと思います。
目次
数の子はニシンの卵

みなさんもお正月に数の子を食べる機会があると思います。
その数の子はニシンの卵です。
ニシンといえば1897年(明治30年)にピークになり北海道でそれはそれはたくさん獲れたのでした。
今では考えられないですが海一面がニシン色に染まったと言われるほどたくさん獲れたのことです。
そして当時ニシン漁で財をなした番屋の親方が作った家をニシン御殿と呼んだりしていました。
それだけニシン漁は儲かったということです。
数の子の獲れる時期は年1回のみ
ニシン漁は年に1回3月ごろに行われます。
その時期に卵を生みに沿岸にニシンが押し寄せるのを定置網などで獲るわけです。
つまり漁師達はその期間だけニシンを獲るわけです。
言い方を変えると1年間食べていける分をその時期に稼ぐということです。
その時とれた数の子もその時に獲れたものを1年間持たせるため工夫され、塩漬けという技法が使われたのです。
いわゆる塩数の子です。
数の子はニシンの獲れる地域でグレードが違う

ところが1900年に入ると徐々に水揚げは減っていき、1950年代になるとほとんどニシンは姿を消し、幻の魚とまで言われるようになったのです。
そうすると北海道産の数の子というのもなかなか手に入らなくなりました。
北海道産の数の子はポリポリ歯応えがあってとても美味しいものでした。
基本海草に生みつけるので流されないよう粘度が高いためにしっかりしているのです。
いわゆる本チャンと呼ばれる数の子です。
そうなると、一度根付いた食習慣をなかなか変えることができないわけですから、海外へニシンを求めに行くことになったのです。
で、北海道で獲れたニシンの卵数の子と同じようなレベルのものがカナダで獲れるということがわかったということでカナダ周辺のニシンが獲られるようになり、カナダ産の数の子というものが出てきたのです。
カナダ産の数の子は北海道産の数の子のようにポリポリ歯応えがあるのが特徴でした。
北海道産に似ているということでこのカナダ産の数の子も本チャンと呼ばれたりしたのです。
ところがカナダ産のニシンも次第に水揚げが減っていったのです。
天然資源の宿命みたいなものですね。
そうなるとさらに外地へニシンを求めるようになりました。
それが大西洋でした。オランダが代表的な産地になります。
ところが大西洋のニシンは岩場砂地に卵を生みつけるため粘度も低く、水分も多く含むということでした。
そのニシンの卵が歯応えがなくポリポリ感がないのです。
と評価されました。
ということで大西洋産は市場評価も低く品質的にも劣るものというレッテルを貼られてしまいました。
このように獲れる地域によって数の子が品質と評価され今なお残っているのです。
北海道産 → カナダ産 → 大西洋産
がおいしさのグレード順になるのです。
これが価格順にもなるわけです。
我々も買い付けするときは、
- 北海道産 ・・・ ほとんどないものと思っている
- カナダ産 ・・・ 高いけどやっぱりおいしい
- 大西洋産 ・・・ 安いけど食感ないしイマイチだな
と思いながら買い付けします。
イメージでいうと、
ちょっと高い数の子だなと思うときは大抵カナダ産で、
オッ!この数の子安いなあというときは大抵大西洋産
になると思っていいでしょう。
塩数の子

数の子は先ほども述べた通り一年に一回しか獲れないということなので塩漬けにされて流通します。
なので、食べるときは塩抜きをしなければなりません。
贈答用の需要は年々減っている
ただ、卵がたくさんなので子宝に恵まれる縁起物として贈答用に使われることも多いです。
ということはもらったりすると自分で塩抜きをしなければいけないということになります。
これが面倒だということで最近贈答用の塩数の子需要はめっきり減っている状況です。
贈られる方もやり方がわからないということもあるんでしょうね。
一応塩数の子の塩の抜き方を紹介しておきます。
塩数の子の塩の抜き方
- 数の子が全部浸るようにボールに水を入れます。
- それを冷蔵庫に一晩入れて置いておきます。
- 翌日、端っこをつまんで食べてみて若干塩っけがあればOKです。
とっても簡単ですね。
ただ、あまり塩を抜きすぎるとかえって美味しくなくなりますのでほどほどの塩加減は残してください。
あとはだし醤油につけて1日ほど置けばいいだけです。
塩数の子のおいしさはこのだし醤油で決まると言って過言ではないと思います。
自家製の味付けできるのがメリットですからね。
ただ、簡単にするには市販の数の子のタレを使ってもいいですし、めんつゆを使ってもいいです。
さらに簡単にするときはうどんのスープを使ったりするという人もいます。
どうしても塩数の子を使わないといけないというときなどは頭の片隅にでも入れておいてください。
塩数の子2大ブランド ヤマニとヤマカ
塩数の子2大メーカーはヤマニとヤマカです。
ヤマニ
ヤマニは井原水産の屋号です。
北海道留萌市を拠点とする数の子のトップメーカーの一つです。
>>井原水産公式HP
最近ではカズチーが大ヒットで有名になりました。
あまり水産業界では若者ウケするヒットが出にくいためその当時はまさかの大ヒットと言われました。
本業の数の子も非常に評価が高いです。
ヤマニの数の子の特徴は腹を上に向けて並べているところです。これは数の子は古くなったり品質が悪いと腹から割れていくと言われています。普通は腹を下にして並べるのですが、ヤマニの数の子は腹を上に向けて並べてます。これはヤマニが品質に自信を持てるものだけを厳選しているからと言われてきました。確かにヤマニ数の子は腹が上になっています。
主に関西圏に強いブランドと言われています。
老舗トップブランドということで少し値段が高めで条件も出にくいということで近年後述のヤマカに勢力を押され気味のように見えていました。
これはあくまでスーパーのバイヤーの個人的な見解なので実際のところはどうでしょう。
ただカズチーの大ヒットで勢力を巻き返しているように見えます。
\ 昔から安定した人気の商品はコレです /

ヤマカ
ヤマカは加藤水産の屋号です。
加藤水産もトップブランドの一つです。
ここも北海道留萌市旭町に拠点があります。
>>加藤水産公式HP
持ち前の営業力と長年の信頼実績で市場の評価が高いメーカーです。
マーケティング力が高いんでしょうね。
いい商品もたくさん出ています。
関連会社の「やまか」でもいろんな商品が出ています。
最近の勢いはすごいと思ってみてます。
\ スーパーでよくみる数の子がコレ /
塩数の子の選び方 産地とサイズ
塩数の子はまずメーカーで選ぶといいですがそれだけだと情報としてはたりません。
似たようなもので値段が違うことがあるからです。
産地とサイズが大事になってきます。
産地
産地は先ほど述べたように、
北海道産 → カナダ産 → 大西洋産の順になっています。
ブリストルやシトカという細かい地名が表示されている場合がありますがどちらともアメリカのアラスカになります。
カナダ産の品質に近いといっていいでしょう。
サイズ
サイズは基本的に、
大 > 中 > 小 >折れ
の順で値段が違ってきます。
もちろん大が高いです。
折れも割れ方でさらに、
1折 2折、3折、バラ
となって左にいくほど安くなっています。
よくみると表示してあります。
味付数の子

たくさん作るとなると塩数の子の方が割安ですが、面倒くさいし、ちょっとでいう人は市販の味付け数の子がオススメです。
このときに大事なのが産地ですね。表面に書いてある場合もありますが、裏の一括表示にニシンの産地が必ず書いてあるので参照してください。
あと値段安いなと思うのは食感のない大西洋産のはずです。
まあ、つゆの味で食べるものでもあるのであまり気にしない人は気にしなくてもいいでしょう。
数の子関連商品
数の子の入った商品も結構あります。
◇数の子入り松前漬け
松前漬けに数の子が入っていたりします。
大抵大西洋産です。やわらかめの数の子です。
◇数の子わさび
これも大西洋産です。
本チャンは原価高くなるので基本的に入れないと思います。
◇カズチー他
珍しく水産加工品で大ヒットしている数の子メーカーの商品です。
これは燻製した数の子を使っているので品質は分かりませんがもしかしたら本チャンを使っているかもしれません。
◇数の子の再成型物
回転寿司の数の子の形がキレイに揃っているの不思議でなかったですか?
あれはバラバラになった数の子を固めて成型しているからですね。
数の子メーカーにおいて数の子を作るときにカスがたくさん出るようです。
数の子の類似品
数の子は高いものなので加工品にはもっとコストがかからない類似のものが使われたりします。
それもダメというわけでなくてちゃんと表示されておいしければちゃんと価値を生み出すと思います。
過去の歴史や背景も含めいくつかかあるので見てみましょう。
◇ししゃもの卵
数の子の代用品で以前ししゃも(カペリン)の卵が使われていました。
今では、ししゃも(カペリン)の卵の方もメジャーになったので堂々と名前をししゃも(カペリン)の卵と出るようになっています。
焼津の石原水産の商品によく使われています。
◇トビウオの卵
いわゆるとびっ子ですね。
トビウオの卵も数の子の代用品として使われていましたが、こちらも有名になったのでそのまま名称が使われています。
数の子の無漂白は価値あるの?

無漂白を売りにしている数の子があります。
本当にいいものなのでしょうか?
答えを先にいうと確かに良い原料を使っていると思います。
なぜなら無漂白の場合は品物がよくないと汚く見えるからです。
しかしながら言い方を変えると日持ちしないものともいえます。
実際私も扱いますがしばらくすると黒ずんできます。
まあ、早く使う分には問題ないですが遅くなるとちょっと色目が気になるかもしれません。
数の子の漂白について
ここで少し一般的な数の子がキレイな色をしている点ついて解説します。
といってもキレイな数の子を見慣れているので色の悪い数の子といってもどんなものかわかりませんね。ここは知らなくていいと思います。
知っておいてほしいのは一般的な数の子が漂白されてキレイになっているという点です。
漂白の仕方は色々あるようですが、過酸化水素水で漂白するというのが一般的です。
この過酸化水素水がクセモノなのです。オキシドールもこの過酸化水素水の商品名です。
過酸化水素水は食品添加物としても認められていますが発癌性の問題があるということで一定の条件のもとで使用が認めらるちょっといわくあるモノです。
詳しくはこちら → ウキペディア過酸化水素
数の子にも使われているとのことですがいろんな条件で表示しなくても良いことになっているということでいろんな思惑が介在しているようです。
深入りすると迷宮に入りそうなので話はこの辺にとどめておきます。
ただまあ、ここまで調べてみると確かに無漂白にこだわりたいというのもわかるような気がしてきました。
〈参考論文〉
添加物「過酸化水素」について、食品健康影響評価を 取りまとめ 食品安全委員会
過酸化水素処理 した塩かずのこ中の残留過酸化水素の カタラーゼおよび亜硫酸処理による除去に関する考察 食衛誌vol.22
最後に
ここまで読めばかなり数の子のことかなり詳しくなったと思います。
それでもスーパーに並ぶたくさんの数の子を見ると迷ってしまうかもしれません。
そんなときこの記事のこと思い出していただけるとありがたいです。
今年も数の子安くないと思います。
ぜひおいしい数の子選んでくださいね!
<終わり>