棒鱈煮はおせち料理に欠かせないものです。
カンカラカンに干されたタラを水戻しして長い時間をかけて煮詰めて作ります。
この棒鱈煮は商品にもなっていて販売されていますが非常に高価なものとなっています。
手間暇を考えたら高くなるのもやむを得ないのかもしれません。
ただ、スーパーで安い棒鱈煮が売っていたりして何が違うんだろうと思ったりします。
美味しさなのか?作り方なのか?
今回はこの棒鱈について少しつっこんで解説してみたいと思います。
目次
棒鱈煮とはどんな料理か?

棒鱈煮を自分で作るというお宅もまだ多いと思います。
関西や北陸方面では原料の棒鱈も年末になると販売されます。
その乾燥した鱈を水戻ししてそれを甘辛く煮付けます。
甘辛くじっくり炊くことで佃煮のようにして保存性を高めているのです。
おせち料理にも使われ正月三が日それを食べるのです。
上手にできた棒鱈煮は本当においしいものです。
食べ始めるととまらずにツイツイ食べ過ぎてしまうこともあるくらいです。
「たらふく(鱈福)」にかけて1年間食いっぱぐれがないようにと願いを込めて食べられる縁起物なのです。
乾燥した鱈を使うことで鱈の旨味がさらに凝縮されて美味しくなると言われています。
新潟や北陸でこのような棒鱈がもたらされたのは江戸時代の北前船の影響というか功績もあるのでしょう。
棒鱈煮なのに安いものがある

この棒鱈煮は原料の干しダラ自体高いというのと料理にも時間と手間がかかるというので、スーパーなどで買うと非常に高いものです。
ただスーパーなどではこの棒鱈煮によく似た安い棒鱈関連商品などが売られたりしています。
何が違うのでしょうか?
もしかしたら買う人も気づいてないかもしれません。
棒鱈というものを知る上でポイントになるところなので詳しく解説します。
作り方が違う 棒鱈煮と真鱈の甘露煮
棒鱈煮という場合は乾燥した鱈=棒鱈を水戻しして使うのに対して、生タラの切身を甘辛く甘露煮風にした簡易版棒鱈煮というものもあるのです。
言葉にすると味付真鱈煮ということになります。
これは棒鱈煮とは全く違う商品です。
写真の商品も真鱈の甘露煮ですが、表記も真鱈甘露煮となっていて棒鱈甘露煮とは書いてありません。
普通の生タラの切身を煮付けにしたものです。
これだと結構簡単にできます。
こうなるともはや棒鱈煮とは言えないのです。
なので安い棒鱈煮は実は即席のタラ煮付けなのです。
そもそも棒鱈煮といってはいけないのです。
タラの種類が違う 真鱈と助惣鱈

使っているタラの種類が違うので値段が安くなっているものもあります。
当然助惣鱈の棒鱈で作った方が安いわけです。
実際に乾燥したタラを使うにしても真鱈の棒鱈と助惣鱈の棒鱈があります。
写真の棒鱈煮はスケソウダラを使っています。
売値は比較的買いやすい値段になっています。
真鱈を使った棒鱈はやはり高いものです。
\ これはスケソウダラ使用! /
棒鱈ってどんなもの?

それでは実際乾燥した棒鱈をお見せしましょう。
上の写真が水に戻す前の棒鱈です。
なかなか見る機会がないと思います。
結構大きいです。
棒鱈にもランク等級があります。
特が3つくらいついた商品を扱った方が高いけれど結局リスクが少なくて済むように思います。
ここは失敗を経験した人でないとわからないところかもしれません。
自分で棒鱈を作る人はこれを使って棒鱈煮を作るといいでしょう。
カットされたものが袋に入って売られていることもあります。
ただ一般的にカットされている市販品は身が薄かったりするので個人的にはあまりオススメしません。
もちろんちゃんとしたものもあるので身の厚さを意識して購入するといいでしょう。
棒鱈の相場は京都で決まる
先ほど北前船で棒鱈が運ばれたという話をしましたが北前船の終着点は大坂になります。
ただ、この棒鱈の相場は京都の市場で決まると言われています。
京都でついた値段を参考にその年の相場が決まるのです。
ちなみに棒鱈は春先に作られ秋口まで保管されます。
秋口に京都の市場で競りが行われ、そこで全国の相場がつくということです。
なので棒鱈を使う専門の人は京都のセリ値を注視しているのです。
年々高くなっていっています。
棒鱈の水戻し

棒鱈煮を作るにはまずこの棒鱈を水戻しするところから始まります。
大きな棒鱈を水槽のような桶に入れて水戻しします。
ブリ用の大きな箱を使ってもいいと思います。
量によってはお風呂のような湯船くらいの水槽を使います。
要は水が貯められてキレイな入れ物があればいいわけです。
それに水を張って乾燥棒鱈を水につけるのです。
異物が入らないように蓋があった方がいいと思います。
そして約1週間ほど外気の中で水戻しされます。
例年つける日が決まっているものです。
いい棒鱈は水戻しすると飴色になります。

棒鱈の水戻しは簡単なように見えますが実は非常にノウハウの詰まったやり方でなされます。
水戻した棒鱈のことを漬け棒鱈といったります。
水戻しはリスクが伴います。
失敗すると嫌な臭いが出るのです。
その臭いを出さないようにするためにいろいろノウハウがあるのです。
残念ながらここの部分ついては企業秘密になるので公開できません。
一つ言えることはいい棒鱈はちゃんとした手順で水戻しすると上の写真のようにキレイなアメ色に近い感じに仕上がるのです。
最近はそんなアメ色の棒鱈が少なくなりました。
漂白されたように真っ白な棒鱈が売場に並んでいたりします。
これはちょっと残念です。
出来上がった棒鱈の味も今一つ落ちるのかもしれません。
アメ色の棒鱈にすることが重要で難しいのです。
棒鱈煮の作り方
甘露煮を作る要領です。
最初に下茹でします。
そのあと調味液をいれて炊きます。
大きな鍋を使ってぐつぐつ時間をかけて煮込みます。
水分がとぶくらいになれば出来上がりです。
時間でいうと2〜3時間ほどでしょうか。
固めが好きな人は1時間、1時間半という人もいます。
しっかり水で戻してあれば短くていいようです。
この辺は地域によって違うかもしれません。
出来上がったら一晩煮汁につけて涼しいところにおいて置きます。
水飴を入れるとテリがでてみためはよくなりますが、町の魚屋さんなどは水飴を入れないという人も多かったです。
この辺も地域性でしょうか。
ここであるものを入れるとさらにおいしくなるというものがあります。
これも,実際毎年作る人からきいたはなしです。
秘密の裏技ってことですね。
意外なものですがそう言われると確かにそうかなと思いました。
教えてくれた人に申し訳ないのでここも公表しないことにします。
気になる方はさかなのさのLINE公式アカウントの方で声掛けてみてください。
リッキーとその仲間達メンバーになっていただければそちらで回答させていただきます。

最後に
本格的な棒鱈は手間と時間がかかっているので小売価格も高くなるんですね。
安いものは安いなりなこともわかりました。
まあ食べておいしければどちらでもいいですけどね。
ただ棒鱈を販売する方はこの辺の事情をわかってないといけません。
おせち料理に入っているとおいしくて何気に全部食べちゃうんですよね。
今年も棒鱈食べられるかな。
<終わり>
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