某大手スーパーの売場を見ていてアレッ!と思いました。
なぜか入荷したばかりの甘エビを値引きしているのです。
加工日が今日のものなのに20%という値引きシールが昼頃に貼られているのです。
よく見ると確かに色がくすんでいるように思いました。
実はこの店以前から他の魚でそんな光景を見ていました。
とにかく入荷した当日の昼頃に生魚を見切っているのです。
おかしいなと思いながらいたのですが今値引きされている甘エビ状態を見てすぐにその理由がわかりました。
今からこの理由について解説したいと思います。
大手スーパーの闇とまではいかないですが大きな構造的な問題点があったのです。
目次
北陸では生魚は鮮度いいので次の日でもおいしいはず
普通北陸で扱う甘エビは鮮度いいです。
鮮度よすぎて次の日の方が熟成されておいしくなったりすることも稀ではありません。
入荷当日は鮮度がよすぎて甘味がのらないんですね。
次の日皮を剥いて刺身にしたりするとよりおいしくなっているのです。
その他の魚についても似たようなものです。
入荷したての魚は鮮度いいので2日間くらい箱のままならそのままにしても大丈夫です。
もちろん市場でバイヤーが品物を見て買い付けた場合です。
1日では集めきれない大手スーパーの悩み
ところが大手スーパーマーケットになると規模がでかいので地方の中央市場でもなかなか魚を集めきれないということが起こります。
特に近海の魚は漁がまとまってあったとしても限度があります。
街の魚屋さんやローカルスーパーが買えるくらいの量はあるのですがよほど水揚げ多いときでないと大手スーパーが必要な量は確保できないのです。
アジやサバ、サンマのような大衆魚であればある程度揃えられるのかもしれませんが近海の魚になると特に難しくなるわけです。
例えば甘エビなども漁が多い時もあったりしますが普通はほどほどなのでそんなときに大手のスーパーは困るのです。
特売など入っていようものなら魚集めは相当苦労するものなのです。
数日かけて魚を集める大手スーパーの妥協
そうすると大手スーパーのバイヤーはどうするかというと、仲買人に対してなんとか集めろ!と指示を出すのです。
もちろん、通常は集めきれません。
それでもどうしても必要だから集めろと指示を出します。
大手スーパーは特に週末と火曜日に魚がほしいのです。
お客さんが入るのでその日に目がけて魚を集めようとします。
しかし土曜日と火曜日それぞれ当日だけでは数が揃いません。
そこで数日かけて集めようとするのです。
ここから大手スーパーの悲劇が始まります。
鮮度にこだわるなら当日買付当日販売が原則
本来であれば当日水揚げされたものを当日販売できれば一番いいわけです。
通常は各港で夕方〜夜水揚げされた落とされためものを次の朝競りにかけられ仕入たりします。
鮮度にこだわるならできるだけ水揚げされて時間が経ってない魚を仕入れるべきです。
これが誰もがわかる原則です。
数日前から集めざるを得ない大手スーパーの悲哀
ところが大手スーパーの場合はその前から集めていくわけです。
例えば今の例で言うと、土曜日に入れたい魚を金木だけではなく火曜日月曜日から集めていくのです。
これが大手スーパーの構造的な問題なのです。
当日魚集めきれない=数日前から集める。
鮮魚を扱う上での大きな問題点なのです。
わかりますよね。
甘エビですらそうなのです。
そんな持つはずないですから。
これをお店の側から見ると、
入荷したなり、鮮度が悪い
入荷したなり、色が悪い
ということなのです。
これはフィクションではありません。
担当者は限界を感じて入荷したなり見切る
店の人たちもわかっています。
そんな集め方をして鮮度のいい魚が入るわけがないと。
で、入荷した魚を見て判断するわけです。
これは、見切らないと売れない。
それで冒頭に述べた話になるのです。
入荷した日の昼頃にもう見切り値引きがされるという悲しい事態に陥いるのです。
たまたまということでしょうか!
誰が悪いわけでもない
この問題はバイヤーが怠慢だと言っているわけでもないですし、会社が悪いというつもりもありません。
むしろ誰も悪くないのです。
なぜなら店舗グループが大きくなりすぎた故の構造的欠陥といえるからです。
つまり、大きなスーパーが近海の生魚を扱うというのに無理があるのです。
規模が大きすぎて乱獲の原因になってるのはもとよりそもそもそれだけの量を確保できるほど近海魚は多くないということなのです。
ただそれが鮮度の問題として顕在化しているというだけなのです。
大手スーパーが近海の生魚を扱うのは困難と無理が伴う
はっきり言いましょう。
大手スーパーは近海の生魚に力を入れてはいけないのです。
養殖物と冷凍物のシーフードに力を入れればいいのです。
計画性も要求されるわけですし不安定な近海の魚を扱いきれないわけですから。
無理はしないことです。
無理して2、3日前の魚を扱わざるを得ないようであればそれは大手スーパーにとってもお客さんにとってもプラスにはならないはずですから。
鮮魚に関しては地方の小さいスーパー、魚屋に軍配
構造的に甘エビやカレイ、ハチメ(メバル)などの近海の生魚を大手スーパーが扱うには無理があるわけです。
言い方を変えると鮮魚については大きなスーパーよりも地物のスーパーや鮮魚量販店の方が強くなれるのです。
商売として勝機があると言えるのです。
地元のスーパーは日々細かい仕入れをおこなって見てればいいだけですから。
市場に行かないバイヤーの悲劇
今の時代市場の現場に足を運ばない大手スーパーも多いからかもしれません。
結局、たとえ新しいものが手配できたとしてもそれを鵜呑みにできないのです。
それが全部新しい魚ということにはなりません。
なぜなら市場の仲買は必ず当日より前に仕入れた魚を混ぜるからです。
特に市場に行かないバイヤーの店はほぼほぼ在庫でもっていた魚が混ぜられています。
仲買は魚種にもよりますが毎日同じ産地メーカーの箱の魚を買おうとします。
そうすると前の日の在庫が混ぜられいても誰も気づきません。
そこに大きな別の悲劇が待ち構えているということです。
もう一度言いますね。
市場に行かないバイヤーの店はが必ず古い魚混ぜられます!
仲買も少しは予備をもたないといけないし、どこかでその在庫はかないといけないですから当然です。
それをわざわざ市場にきて魚を吟味するバイヤーの店にだすわけないですね。
そうすると古い在庫行き先は自ずからきまりますね。
結果的に市場の現場に行かない大手スーパーの魚は鮮度が悪いということになるわけです。
おそらく日本全国同じようなことが起きているでしょう。
少なくもとバイヤーは市場の事務所でなく市場の現場に足を運ばないといけないのです。
まとめ
こと鮮魚に関しては地方の小さいお店の方が強いと言えます。
これこそが青果や精肉と違うところなのです。
なので大手のスーパーはスーパーでもっとしっかり構造を見直さないといけないですし、バイヤーは市場へ足を運ばないといけないのです。
逆に言ったら地方のスーパー、鮮魚量販店はまだまだ生き残れる余地が十分あるということなのです。
それは令和の時代になっても同じです。
少なくとも入荷してすぐの魚を見切るようなお店では魚買いたくないですからね。
お客さんのほうがよくわかっていると思います。
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