20年間ブリをおろし続けているリッキーです。
今回は鮮魚の裏話というか意外なものが役に立つという話です。
おそらく北陸地方の魚屋さんならほとんど知っていると思うので別にマル秘情報というわけでもありません。
ただブリを扱う機会が少ない地方の方やこれから魚捌きを始めるという人は知らない人もいると思うので一つの情報提供です。
ブリ以外の魚でも重宝しますのでぜひ最後までご覧いただいてまずはこれで魚を捌く作業が楽になるんだということを理解してください。
目次
ブリをおろす便利グッズは「スプーン」

先に答えを言ってしまいます。
ブリやフクラギをおろす便利グッズは「スプーン」でした!
このスプーンがとってもいい仕事してくれるのです。
「えっ!なに?」
「なんでスプーンが関係あるの?」
「スプーンってカレーライス食べるスプーン?」
いろいろ質問が来そうです。
ブリをおろすのとスプーンがなんで関係ある?ということだと思います。
それもここでいうスプーンは普通のカレーライスを食べる「スプーン」のことです。
「身をすくうときに使うの?」
「これでウロコをとるの?」
など。
まだまだ質問はありそうです。
ハイ、これから解説します。
\ カレー用の大きいスプーン /
ブリの血合(血のり)をかき出すための道具

このスプーンはブリの腑(ハラワタ)の血合部分をかき出すために使われます。
ここでブリの血合というのはブリの腹をあけ内臓を取り出した後、骨の内側に血のりの部分があります。※正式名称不明なのでここではとりあえず「血合」と表現します。
三枚おろしする前に膜の部分を包丁で一筋入れてこの血合をとっておく必要があります。
本来竹で作った「ササラ」という専用の用具があり、それでとるのですが繊細なものなので丁寧に扱わないといけません。
どちらかというとしなやかなものです。
ところが最盛期になると20本近くスーパーではおろさないといけなかったりするので一気に取り除きたいわけです。
そこで重宝するのが固い金属でできたスプーンなのです。
これだと力を入れてかき出せて仕事も早くなるのです。
それがまたブリの内側の骨の形とスプーンの先の形が丁度合うのです。
完全ではないものの何回か書き出せば大部分がすぐに取れてしまいます。
とてもやり易いです。
多少血合が残っても後で薄腹とるときに気をつけてとればいいので問題ありません。
なによりもスピードが速いのです。
尾の方は狭くなっているのでスプーンの柄の方を使える点も重宝します。
ということでブリをおろす時はスプーンが量販店では必須なのです。
これがないとおろせないくらいです。
\ これが昔から魚の腑をとるのに使っているもの! /
\ 今はプラスチック系のものに変わっているようです! /
量販店では大量に捌くためスピードと正確さが求められる

ところで魚を捌くといった場合、1尾2尾を捌くのと数十尾捌くのでは当然やり方が違います。
当然1尾2尾を捌くのであれば丁寧さを求められます。
例えば寿司屋さんや割烹などのように丁寧でキレイにおろさなくてはいけません。
その美しさが付加価値にもなります。
逆に量販店の場合は必要な数量を時間までに捌くことが重要になります。
かといって汚いものはダメで実は丁寧さとキレイさも求められています。
ただ飲食店のそれとは質が違うということです。
量を捌くという前提でのキレイさで十分なのです。
その程度がノウハウでもあり技術でもあるわけです。
ただこれを知らないといつまで経っても技術レベルが上がらず、しいてはお店の格も上がらずいつまでたってもお客さんの評価も低いままなのです。
お客さんの信頼評価も上がらずに悩んでいるお店も多いところだと思います。
なにげないことが立派なノウハウ
なにげないことが実は立派なノウハウ、技術になるのが魚屋の世界です。
その意味では魚捌きの世界はたくさんノウハウ、技術があるわけです。
これは捌くのが上手な人と下手な人の違いということになります。
「刺身をおいしそうに作る」というだけでもみなさんも知らない優れ技がたくさんあるものです。
今回のブリの捌きで使うスプーンの話も素早くキレイにおろすためにかなり効果的なものです。
そういったものがこの道何十年のベテランの人しか分からなかったのです。
誰も教えてくれないから気づくのに時間がかかったのです。
このように巧み技を隠してきたのが魚屋の世界です。
教えたらマネされて自分とこの商売が成り立たなくなると思うからです。
そのような技術を隠すことで、その人は雇用を守られたり、財産を築けたわけです。
親方の背中を見て学ぶ時代は終わった
ところが今の時代そこそこの情報はどこかで公開されています。
自分たちが隠してきた情報もすでにどこかで流されています。
たとえば今回説明したブリを捌くときのスプーンの話もすでにどこかで公開されているかもしれません。
なにを言いたいかというと、この時代ある程度のノウハウや技術は隠し通せるものでないということです。
ということは、昔の魚屋さんのような教えないから黙って俺の背中を見て覚えろというスタイルはもう意味をなさないということです。
むしろ教える技術がないことを露呈しているだけということです。
特にこの「さかなのさ」でも積極的にいろんなノウハウや技術を公開しています。
※特定個人に迷惑はかかりそうなものは公開しません。
魚屋の世界でももう既にノウハウや技術の流通が始まってるのです。
スプーンで血合をとる必要のある魚
基本的にはどんな魚にも血合部分はあるので多かれ少なかれ取り除く必要はあります。
ブリやブクラギの他には、サバやシマアジ、タイ、サゴシ、アナゴ、サーモンなどでも使うことが多いです。
意外と使う魚多いです。
まとめ
ブリやフクラギを捌くのにスプーンを使うなんて意外と思う人多いと思います。
ブリの内側に包丁を一筋入れてから血合をスプーンでかき出すと一気に取れて便利です。
ぜひ自分で魚を捌く人はやってみてください。
身に血合がついて生臭くなるということも防げます。
<終わり>
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