激アツ鮮魚バイヤーのリッキーです。
スーパーで買った刺身を食べるのを忘れて次の日冷蔵庫を開けたら残っていたという経験はありませんか。
前の日の刺身って食べられるのでしょうか?
刺身は当日しか持たないというのはわかってはいてもそのまま捨ててしまうのはもったいないですね。
おそらく大丈夫だろうと実際に食べたことがある人もいるのではないでしょうか。
本当のところはどうなんでしょう?
次の日刺身を食べてもお腹壊さないものでしょうか?
ということで今回刺身の日持ち=消費期限について、20年以上の刺身を販売しているリッキーがわかりやすく解説してみたいと思います。
刺身の消費期限はいつまでか、どういった基準で判断するのが正しいのかお悩みの方はぜひ最後までこの記事をお読みください。
どの刺身を次の日食べていいかわかるようになります。
目次
消費期限と賞味期限
その前に確認しておきましょう。
消費期限と賞味期限の違いです。
刺身では主に消費期限という言葉を使います。
刺身や切身はおいしく食べられる期間が1日や2日だったり短いので消費期限を使います。
これはおいしく食べられる期間の長さによって使い分けます。
また、消費期限はそれを過ぎると食べてはいけないという期限です。
それに対して賞味期限は比較的長い可食期間のある商品に使われます。
この場合、期限を過ぎたものを食べることも可能ですがオススメしませんよというものです。
缶詰やチョコレート、サラダ油などで使われます。
まあ、賞味期限のほうが使い慣れてるとは思いますが、刺身や切身では消費期限を使うということを覚えておいてください。
翌日食べられる刺身も存在する
結論を言うと、刺身は翌日以降も食べられるものがあります。
お店でも刺身で3日ほど消費期限がついているものがあります。
例えば、今人気のマグロスライスなどは当日入れて3日消費期限がついています。
しかし普通の刺身は当日が消費期限になっているはずです。
どういうことでしょうか?
なにが違うのでしょうか?
刺身の消費期限が当日の理由
この違いは大根のツマ、ケンを使っているかどうかの違いです。
普通の刺身パックは刺身の下に大根のツマ、ケンを敷いています。
これだと当日しか持たないのです。
大根のツマ、ケンというのは思っている以上に鮮度落ちが早いものです。
魚の汁(ドリップ)と一緒になるとさらに悪くなるのが早いです。
それに対してマグロスライスなどは大根のツマケンはなく、吸水スポンジが下に敷いてあります。
これだとスポンジが魚を汁を吸ってくれるのでマグロの状態も悪くなりにくいのです。
結果、
大根のツマ、ケンを敷いてなければ次の日も刺身で食べられる
ということになります。
ただお店ではどうしてもリスクを抱えるわけにはいかないので当日のみとしているわけです。
次の日でも刺身で食べられる魚種
刺身は翌日でもおいしく食べられるものが結構あります。
ただ誤解なく言っておきますと保存温度管理と衛生状態がしっかりしているというのが前提です。
ということでどんなものがあるかみていきましょう。
たくさんあるので主だったものを挙げてみます。
- ホンマグロ赤身、中トロ、大トロ(生)
- ホンマグロ赤身(解凍)
- バチマグロ(解凍)
- キハダマグロ(解凍)
- ビンチョウマグロ(解凍)
- 真鯛(天然、養殖)
- トラウトサーモン(解凍)
- アトランティックサーモン(生)
- サヨリ
- カンパチ
- 白身魚(アラ、キンメダイ、ホウボウ、カワハギ、ウスバハギ)
- ノドグロ、他のメバル
- アマダイ
- ヒラメ(天然、養殖)
- タコ(生、解凍)
- イカ(生、解凍)
- 貝(サザエ、アカガイ、バイガイ)
色変わりしにくかったり、品質の劣化は緩やかなものです。
特に白身魚は翌日でも刺身に食べられることが多かったりします。
当日しか刺身にできない魚種
逆に当日しか刺身で食べられない魚もあります。
大根のツマ、ケンを敷いてなくても翌日に回せない刺身です。
色変わりしたり、鮮度落ちが早い魚です。
- ブリ(天然、養殖)
- ホンマグロ中トロ、大トロ(解凍)
- メジマグロ
- 生カツオ
- カツオたたき(解凍)
- 鰆さわら
- 青魚(アジ、イワシ)
たとえば、ブリなんかは養殖なら次の日でも大丈夫だったりしますが真冬でよほど条件のいいときでないと刺身にはできないと考えた方がいいでしょう。
メジマグロも基本当日しか使えないと考えます。皮を剥いたものを翌日使うということは基本しません。
アニサキスの問題は別にあります。
大きな魚体でおろしてなければかなり日持ちする
ここではスライスやカットした刺身がいつまで持つかということを問題にしていますが先に大前提を確認しておきましょう。
まず次の状態のものは結構日持ちします。
- 大きな魚体の魚
- おろしていない魚
です、
なぜなら空気に触れないからです。
雑菌は空気に触れることで増殖します。
マグロやカジキ、アトランティックサーモンは原体のままなら状態にもよりますが1週間以上経っても刺身で食べられます。
ラウンドのままのカンパチやブリなどはそれより短いですが5、6日くらいは冷蔵庫に置いておいても大丈夫ということになります。
ただし長くおいたものはおろした後足が早い点注意が必要です。
やはり水揚げしてから滞留時間が長いものは鮮度のいいものと違って空気に触れるとすぐに色が変わりやすいものです。
スライスなどして空気に触れる状態にしたらせめて翌日までしか持たないと考えた方がいいでしょう。
3日(D当日 +2)以上刺身にできる魚
それでも3日目まで持つものを強いて挙げろといわれれば、次のものになると思います。
※これもしっかり温度管理、衛生管理できている前提です。
- イカ
- タコ
- ヒラメ
- クルマダイ
- バイガイ
これらは結構日持ちします。
使う前に氷を入れた冷塩水で洗えばより安心です。
生菌検査でも問題ない
今までこのルールに従ってやって生菌検査で問題が出たことはありません。
もちろん原体の鮮度がいいものを使っているという前提ですが3日間くらいは楽に持ちます。
ところがサクを翌日刺身にすると菌検査に引っかかるという店があります。
前日出したサクを刺身にしたりする場合です。
ここでいう菌検査は一般生菌、大腸菌、黄色ブドウ球菌などの菌検査を含みます。
前日のサクを使った刺身で問題おきるというのは原体またはサクの処理に問題あるように思います。
サクにする時点での温度管理や原体の状態を再点検してみると原因がわかると思います。
刺身の消費期限を長くする方法
刺身としては当日もしくは翌日までだとして、さらに長く日持ちさせたちときは次のような方法があります。
漬け、酢締め、昆布締め
これらの処理をすることによってより日持ちを長くすることができます。
衝撃の事実大公開 刺身編
なんでこれだけ刺身のおいしく食べられる限界事例ついてわかるかというと私自身いろんな経験をしているからです、
見て聞いて実際体験もしています。
昔の魚屋はルールがあってないようなもの
昔話を出してなんですが私が鮮魚をやり始めた頃(20年以上前)は魚屋のお刺身のルールもあってないようなものでした。
当時はまだ魚屋が全盛の時代、スーパーといっても魚屋に毛が生えた程度のレベルだったと思います。
会社自体の刺身の鮮度管理基準もなく個人の判断に委ねられたりしていました。
今はなくなったスーパーですが先輩たちがロスを減らせとそこそこ古い魚を平気で刺身にしたりしていました。
その先輩たちも経験的に刺身になる限界はわかっていたようです。
ただ道義的に問題あると思いました。
そこまでするかという鮮度でした。
魚屋暗黒の時代
その他にも、4、5日前に皮を剥いたイカの刺身を洗って使っていたり、白身の刺身の盛り直し(日付の改ざん)などをしているのを見たことがありました。
産地なども新しいものは地物で、古いものは県外産とかにしていました。
消費期限切れの使用もありました。
特に冷凍日付切れの使用は多かったと思います。
今では考えられない状況です。
その後世間的にもいろんな事件や問題が起こり魚屋の裏の部分もしっかりやらないと会社自体が潰れるという状況になっていったのです。
実際にそういった不正が原因で潰れた会社もたくさんありました。
私たちの時代になるとそういうことはもう御法度というコンセンサスができ上がっていました。
現在は改善されている
ただ当時は私もそういったのをみているだけでも本当に嫌でした。
当初は声も小さくてそんなことはダメだといっても誰も耳を傾けてくれなかったのも事実です。
その後徐々に雰囲気を変えて魚屋の闇の部分をなくしていきました。
そんなのをみてきているのでちゃんと管理されてない魚屋は今でも信用していません。
最後に
確かに今の時代、お店もちゃんとしているし、変なことできない社会的な風潮もできあがっているのでおかしな商品を出す店も少なくなったと思います。
パック記載の日付けを見れば大丈夫という状況にはなっていると思います。
しかし、それでも鮮度を見る目は常に養っていってほしいと思います。
上で紹介した表は結構使えると思います。
自分の身を自分で守る意味でもちゃんとした知識を身につけていってほしいです。
魚の鮮度がわかると刺身をより楽しめるはずです。
いつまでもおいしい刺身が食べらるといいですね。
<終わり>