小売業界では業態の垣根を超えて今まさに場外乱闘の様相を呈しているといってもいいのではないでしょうか?
昔は「餅屋は餅屋」という言葉があるように自分たちのリトリーの中でしっかり地盤を固めるというのがセオリーだったように思います。
しかし、つい最近ではスーパーマーケットが医薬品に手を出したり、逆にドラックストアが生鮮食料品にチャレンジをし始めたりまさに業界は混沌とした状況となってきています。
小売り業界的にいうとコンビニの出店数が既にピークをむかえたからというわけではないでしょうが最近はドラッグストアの出店がすざまじいことになっています。
いろんな業態が競合してしのぎを削っている状況が全国各地に見られるわけです。
そんな中でそれぞれの専門分野だけでなく新たな挑戦も打ち上げ花火のように所々で大きなものが打ち上げられているようにもおもえます。
目次
ドラッグストアが生鮮品の取り組みを強化
最近でいうとドラッグストアがスーパー得意の日配品や野菜お肉など売ったりして売ったりして一部うまくいっているようです。
ドラッグストアが生鮮品を扱うと確かにお客さんは便利ですね。一カ所でことが足りるというのは決して悪いことではありません。
これはどういうことかというとドラックストアが日々来店するお客さんが欲しいということです。
みなさんもお分かりのように薬の場合毎日買うものではありませんよね。
風邪をひいたとか喉が痛くなったというときに薬を求めて薬局に足を運ぶのですがそれってたまにですよね。月一とかです。
ところが生鮮品を扱うと基本来店頻度が高くなるわけです。
そのメリットを享受したいということで薬屋さんも生鮮品を扱おうとするわけです。ホームセンターが生鮮品をやろうとするのも同じ理屈です。
みんな売上が欲しいですがその売上は客数×客単価で客数は来店数(レジ通過数)と同じでそのために生鮮品を扱うことで増やしたいのです。
それで生鮮品にチャレンジするわけです。
日配品はもう薬屋さんホームセンターでも定着したようです。
お肉では一部うまくいっているところが出始めているようです。
魚がなかなか攻略できない!
しかし、お魚がうまくいっているところはなかなかまだ出てないようです。
おそらく思った以上に大変だといって撤退していったところも多いと思います。
なぜお肉はまあまあうまくいっているのに魚はうまくいかないのでしょうか?
簡単に言えば魚は専門性が特に強い分野だからということになります。
では具体的にどういうところがうまくいかないのでしょうか?
魚屋の捉え方のズレ
一般のお客さんが求める魚屋の質と薬屋さんが設定する魚屋さんのクオリティのズレが非常に大きいと思います。
要は魚屋、魚部門は生鮮部門の中でもっと品質を重視するところです。安さや値段より鮮度という品質が最も重要視されるのです。
そしてこの鮮度の管理は非常に難しいものです。既存のスーパーでもしっかり鮮度管理できている方が少ないくらいだからです。
魚のテナントだとしてもそこが鮮度管理に長けているかは?わかりません。ちょっとやそっとのテナントではおそらく難しいと思います。
それだけ鮮度の良い魚を扱うというのは非常に難しいのです。
ところが薬屋さんは日配と同じような管理をしようとするかそれに近い形でしようとします。テナントを入れたとしてもそのテナントが素人同然のこともあり得ます。
そうすると魚の鮮度管理がしっかりしているところのやり方を真似るかそれに近いテナントを入れるかしかないわけです。
値段から入る商品作り
お肉屋さんが成功したのはセンターをうまく使えたからです。
しかしお肉と違って魚屋さんは店内で加工しないと明らかに鮮度が落ちます。鮮度にこだわる地方ではインストア加工は必須なのです。
以前福井に生鮮鮮魚をやっている薬屋さんがあると行って見に行ったことがあります。
テナントなのかインストア加工でした。
しかし非常に残念な気持ちになりました。
というのも切身が安くて一切れ98円で数切入ったパックがあったのですが、
えんぴつ
のような切身が並んでいたからです。
マジかよ〜!思わず声が出るくらいの貧相さでした。
確かに1切98円で切ればそうなるのもわかります。
私たちもプロなので切身の重量も見れば大体わかりますし、原価もだいたいわかっています。
確かにそうなってもしょうがありません。
でもそもそもの意味が理解されていない切身なのです。
なぜなら、焼いたら小さくなるということが全く考えられていない切身だからです。
私なら倍の厚さの切身にして1切198円で売ります。
それを値段で合わせるとえんぴつみたいになるのです。
細いえんぴつのような切身を焼いたらどうなりますか?
想像したらわかりませんか?
値段に合わせて切るというということはできるんでしょうね。
でも普通においしく食べてもらえない結果になる切身はナンセンスです。
そんな切身誰も買わないですよ!と言いたいくらいです。
家庭の主婦の方がずっと想像力ありますよ。
焼いたあとのことを考えて切るという魚では当たり前の原理原則がそこにはないのです。
その意味で同じ商売をしているものとして非常に残念でした。
それと同時にやっぱり薬屋さんの魚屋は脅威になり得ないと確信しました。
仕入の難しさ
仕入の難しさは人間関係からなる地元びいきの市場の体質からも異業種だけでない難問ですが2020年クスリのアオキさんが当時地場のスーパーマーケットを買収した話は度肝を抜かれました。
ただ、理解はできました。
もともとクスリのアオキさんはテナントの鮮魚店を入れていました。
ただ決してうまくいっているようには見えませんでした。これはあくまでお客さん目線としてです。
より専門的な業者にお任せするという選択肢があってもよいと思っていました。
もし自分のところで自社でやるとなると尚更難しいということになるわけです。
ドラッグストア得意の単品管理は鮮魚にはなじみにくい
ここはまあプロにまかすべきでしょう。一から作り上げていくのは時間に余裕がない限り難しいでしょう。
もし自分でやろうとするなら間違いなく失敗します。
おそらく単品管理をしようとするはずです。
しかし、鮮魚部門の売場管理は単品管理だけでやっちゃダメです。
単品管理は売り位置の決まった日配やグロッサリーで効果の出る管理方法です。もちろん薬も。
鮮魚はフェイス数を固定しない形なので単品管理だけだと判断がズレるということがよくあります。
そこのところをどう調整するかが難しいところなのです。
商品管理の難しさ
商品管理といった場合在庫管理も入りますがどうなんでしょう?どこまで本気になるかでしょうね。
リッキーだったらいいアドバイスできるんですけどね。それはまあ置いておきます。
幹部の意識
問題はここです。ここが一番のキモの部分になります。
ドラッグストアが魚で失敗する大きな原因となるところです。
もし魚屋を本気でやるつもりなら本業以上に本気でやらないと絶対うまくいかないでしょう。
それも責任者だけでなく社長自ら魚の難しさを理解して作り上げる夢と信念をもたない限りは失敗するでしょう。
なぜなら片手間でやるにはリスクが大きすぎるからです。難しすぎるからです。
よく聞くのが本業が儲かるから魚は自由にやっていいよという言葉です。
いろんな機会にいろんな人から聞きました。
売電事業で儲かるから生鮮食料品事業はどんなに安くしてもいいよというような感じです。
これが実は曲者なのです。
これを聞くとああやる気ないな。おそらく失敗するなと思うのです。
実際すべて失敗してました。何度も見ました。
結局やるのは責任者担当者だけで本部や幹部たちは本気ではやらないよと言っているようなものだからです。
魚は社長はじめ会社一丸となってやらないと例え役員という肩書がついていても担当者だけでは魚をやるのは無理なのです。
本業の儲けをのほとんどを費やしてでも魚をうまく起動に乗せたいというくらいの意気込みがないとうまくいかないレベルなのです。
とにかく社長はじめとする本部全体で本気になってやらないと魚屋はできないというのは明らかなのです。これ私口すっぱく言っているのですがなんか伝わらないですよね。他の事例でもありますが。
とにかく他で儲かってるから自由にやって良い、とにかく安く売ればいよい
十中八九失敗する言葉の一つだと思っています。
まとめ
結局、他業態が魚屋を成功させた例はすべからく社長はじめ従業員が一丸となったところだけです。
大きな企業さんでもこれは一緒だと思います。
とにかく新しいことにチャレンジするときは担当者だけが責任を押し付けられても無理なものは無理なのです。最終責任者がその意思や意気込みを持たないと。
薬屋さんやホームセンターが魚屋をやりたいときは片手間ではできないし、社長自らが主体的になってやってください。
そうでないと痛い出費になりますよ!
そうならないためにも全国の企業さんが魚販売のことでお悩みありましたらのお手伝いはしますよ。魚を売ることに対して熱い想いがあればですが。いつもの2つの限定条件付きで相談承ります。コメント欄、メール、TwitterなどのSNSからどうぞ。
<終わり>
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