今回たまたま養殖のぶりをおろしていてみたこともないようなものが身に入っていたのでその様子を紹介します。
見た目は寄生虫か血栓のようです、
養殖ぶりには寄生虫はいないというはなしでしたが…。
いろいろ調べてみるとそれがどんなものか判明しました!
みなさんも遭遇したことあるでしょうか?
見たこともない!という方も多いかもしれないので今回実際の画像を見ながら解説したいと思います。
毎日刺身魚を捌いていると遭遇!

毎日魚をおろしているといろんな身の状態の魚と遭遇したりします。
奇形のものだったり、寄生虫に犯されたものだったり通常と違う様子のものだったりします。
それ自体は日常茶飯事で珍しいことではありません。
刺身にして食べるを前提に魚を捌くということですが、中にはなかなか食べれるものか判断難しい時があります。
通常は異変のあった箇所を取り除いたりして商品にしたりします。
場合によっては全部廃棄したりもします。
ただアニサキスのように気づかないということもあったりして最悪健康被害につながったりすることもありうるわけです。
その意味では刺身で食べる魚を捌くということはある程度慎重にならないといけないということだと思います。
といっても中小のスーパーあたりだと寄生虫や異物のことはあまり教えてくれないんですよね。
アニサキス以外は自分で判断しろという感じです。
大手スーパーであってもこの辺の教育はあまりされていないのが現状だと思います。
現場で担当者などが経験を積んでいくしかないということになります。
若い人なんかだと本当判断つかないこと多いだろうなと思います。
そこで「さかなのさ」では主宰者のリッキーが経験して得た情報をできるだけ公開することで、みなさんにそういった寄生虫や思わぬ異物などのことをより多く知る機会になればいいと思っています。
今回であったものは遭遇したものはこれ!

で、早速ですが今回遭遇したのが上の写真の養殖ぶりです。
「え〜っなに???」
って感じですよね。
しばらく考えてしまいました。
自分の経験の中では今までないもののようでした。
確かに打身とか血栓が固まって黒くなったとかいうのは何度か経験しています。
しかし、これはちょっと違うような気がしました。
すぐさま、写真に撮って取引先に送りました。
天然の魚と寄生虫
もちろん、天然魚の場合はワイルドな環境の中でいろんな餌を食べているので身に寄生虫などがいるというのはわかります。
実際いろんな寄生虫も見てきました。
アニサキス、ニベリニア、シュードテラノーバ、ぶり糸状虫、ディディモゾイド類吸虫、さんまひじき虫。
これらは天然であるが故のことだと思います。
寄生虫の詳しいことについては次の記事を参照してみてください。
養殖魚には寄生虫はいない?!
それに対して養殖魚には基本寄生虫がいないものだと思っている人も多いと思います。
自分も昔はそんなふうに思っていました。
それは、
「人工的に作られた環境すなわち養殖池、養殖生簀で管理されているから自然界にいる寄生虫はいないのではないか」
と言うことです。
与えられる餌にも病気にならないように抗生物質とか入れられているのではないかと思うわけです。
※この養殖魚の餌にどんな餌が使われているかについては後日記事にしたいと思います。ここでは本旨とズレるので割愛させていただきます。
養殖ぶりと寄生虫

しかしながら、毎日養殖ぶりをおろしているとたまに寄生虫らしきものはみます。
わかりますか?
上の写真の黄色い米粒みたいなものがあります。
このくらいのものはよく見るのです。
おそらく寄生虫だと思いますが具体的にこれが何かというのはわかりません。
ただ今回の冒頭のものを調べていくうちに養殖ぶりにも確かに寄生虫がいることがわかりました。
\同じ寄生虫がこれ!/
今回の原因が判明しました!

しばらくして、サプライヤーから市場荷受を通じて返信が返ってきました。
「筋肉内に寄生した微胞子虫(通称ベコ病)の治癒痕」
とのことでした。
微胞子虫ってなに?
ベコ病って?
治癒痕ですか?
ということです。
これを簡単にいうと、
「ぶりの筋肉の中で微胞子虫という寄生虫に侵されたけれど、時間が経って治ったが、その跡が残っている」
ということのようです。
で、
「微胞子虫という寄生虫のことをベコ病ともいう」
ということです。
この寄生虫に侵されると体の表面まで影響が出てでこぼこになるのでベコ病というようです。
見た目にベコベコしてるんでしょうね。
さらに調べていくと、この論文が参考になりました。
>>ブリ筋肉微胞子虫(Microspora)〜京都府海洋センター海洋生物部
まさに先ほどブリやフクラギにいた黄色い米粒状のものと似た写真が掲載されていました。
微胞子虫でした。
やっぱり養殖ぶりにも寄生虫がいたんですね。
下記の論文も詳しく書いてあるので参考にしてみてください。
わかりやすいです。
>>ブリのベコ病の疫学調査について 魚類検査室技師 原川翔伍

なるほどなあという感じです。
それにしても今回のは結構大きい痕ですね。

でもこの説明で納得しました。
で、実際このベコ病の被害も結構多いようです。
そしてこのベコ病は薬を投薬することで抑制されるとのことです。
それがこの治癒痕なんですね。
最後に
養殖事業も大変だと思いました。
1尾だけってことはないでしょうから全体に薬を投薬しないといけないのでしょうか?
費用のかかる話です。
養殖ぶりに寄生する「微胞子虫(通称ベコ病)」をこれからも注視していかないといけませんね。
ただ、原因がわかっただけでも今回はよしとしたいと思います。
今回はちゃんと写真をつけて申告したので値引きという形にしてくれました。
これだけの寄生虫の写真見せられてブリを食べる気がしなくなったという方には申し訳ありません。
ちょっとショッキングな画像もありました。
ただ、正しい情報を得ることで健康被害を未然に防げることがあると思うのでしっかり情報としては入れておいてほしいです。
<終わり>
コメントを残す