鮮魚売場の対面に立っていると、
「この魚明日料理してもいいですか?」
と聞かれることがよくあります。
何日分かまとめ買いされる方でしょうか?
また、忙しくて当日料理できないのかもしれません。
そんなときに買った魚のお腹を出しておいた方がいいのか?
それともそのまま冷蔵庫に入れておいた方がいいのか?
どちらがいいのか迷ったりしますね。
そんなときリッキーは、
「明日でも大丈夫ですよ、そのまま冷蔵庫に入れておいてください」
と答えることが多いです。
えっ、お腹出さなくていいの?
ということですね。
今回なぜこんな結論になるのか解説したいと思います。
目次
お腹を出すときに水洗いをするのが問題!
リッキーの答え意外ですか?
「お腹出した方がいいのでは?」
と思う人も多いと思います。
確かに魚の胃袋に餌が入っていたりするとそのままだとそこから鮮度が落ちていきますね。
なので普通だったらお腹出してくださいということになるのかもしれません。
しかし、お腹を出した魚は水にあたっているのでかえって鮮度落ちが早かったりすることもあります。
リッキーは鮮度いい魚も悪い魚も毎日たくさん調理しています。
そのとき、つくづく思うのは魚に水をあてると魚の鮮度落ちがすごく早いということです。
ここで水をあてたというのは水道水で水洗いするという意味です。
そもそも魚は水洗いしていいの?
そもそも魚を水で洗ってもいいものでしょうか?
水にさらさずに捌くという風に指導されたという人も多いかもしれません。
確かにリッキーも鮮度落ちを嫌って水にさらさずに調理をしていたこともあります。
昔の人はそうやっていたと思います。
しかしながら、今は基本水洗いが原則になっていると思います。
なぜなら食中毒予防を優先するからです。
基本的に海水魚は食中毒の原因となる腸炎ビブリオ菌を持っています。
これは自然界に普通にいて塩分を好む細菌です。
ただ真水が苦手で真水にあたると死滅するといわれています。
なので、海水魚を捌くときは必ず真水=水道水でよく表面を洗うということになっているのです。
ということで、まず料理するときは魚を水洗いするというのが原則になっているのです。
魚を水洗いするとどうなるの?
どうしてもこの水洗いが魚の鮮度にけっこうダメージを与える形になるのです。
優しくすればいいということではなく、水にあてただけで劣化していくのです。
これはあくまでリッキーの経験則です。
実際に毎日魚を捌いて経験していることから導き出された結論なのです。
例えばサバなんか頭をとって次の日までおいておくと身がフニャフニャになって三枚おろしすらできないのです。
水にあてたらすぐに料理した方がいいと確信しています。
実務では捌くまで魚には触れないようにしている
なので、サバの頭をとった場合はその日のうちに料理します。
翌日に持ち越すことは絶対にありません。
調理するとき一気に三枚おろし、二枚おろし、切身にまでするのです。
むしろ丸の状態なら1日くらいおいておいてもそんなに変化しないと思っています。
なので魚屋の現場でも捌くまで魚に触れないようにしています。
お腹を出した方がいい場合もある
ただし、そうは言っても絶対にお腹を出さないわけでもありません。
例えば、
- そもそも売っている魚の鮮度が悪い場合
- シラス系の餌を腹に持っている場合
- ある程度大きな魚の場合
このような場合はお腹を出しておくことがあります。
ちょっと解説しますね。
そもそも売っている魚の鮮度が悪い場合
翌日までそのままでいいよという前提としては一定の鮮度が維持されている魚でなければなりませんね。
鮮度のいい魚ということですね。
これは当然ですね。
しかしお店によってはあまり鮮度のよくない魚を売っているところもあるのでそういったお店の場合は、やはりお腹を出した方がいいです。
もうすでにお腹が破れていることもあったりすることもありますからね。
そういう場合はむしろ切身や腹出しまで加工してすぐに冷蔵庫で冷やした方がいいかもしれません。
本当は早く料理までしてほしいですけどね。
あまり評判のよくない魚屋さんで買った場合はもうすぐに調理した方がいいということです。
シラス系の餌を腹に持っている場合
また、鮮度よくても餌にシラスや小魚をたくさん食べている場合はお腹出すか切身などにしてしまわないといけません。
夏場によくあるのですがサバやアジなどシラスをたらふく食べて腹がパンパンな場合あります。
この場合その魚の腹の中でシラスが腐敗したり発酵したりしていくのでそのままにしておくと腹がすぐ溶けてしまいます。
なのでしょうがないのでそういった魚は腹をすぐに出してしまいます。
ある程度大きな魚の場合
あと、大きな魚体の魚はある程度水にさらしても身に影響することは少ないので、1kg以上あるような魚は頭をとって翌日までおいておくことがあります。
次の日刺身にしても問題ありません。
これもあくまで経験則ですがその刺身の生菌検査しても問題ないところを見るとこのやり方でも問題ないと考えられます。
魚種別にみていきましょう
一部魚によって扱いが違うことがあるので念のため確認しておきましょう。
主要なものについて個別にみていきます。
白身魚
タイやヒラメ等の白身は基本的にそのままで大丈夫です。
大きなサイズは頭とっておいても問題ないでしょう。
経験からいうと長く持たせたい場合は触らない方がいいように思います。
青魚
アジ・サバも基本的にはそのまま置いておいても大丈夫でしょう。
水氷に入っている方がもちます。
サンマ、イワシは頭と内臓をとっておいた方がいいかもしません。
小さな豆アジ、小イワシなども頭をとっておいたほうがいいでしょう。
ブリ系
3kg以上の大きなサイズは頭とっておいてもいいでしょう。
とるならカマを残してください。カマ付きということです。
刺身にするならはそのままのほうがいいと思います。さわらないほうがもちます。
はちめ、メバル、カサゴ
この辺は迷わずそのまま置いておけばいいです。
へたに水にさらすと鮮度落ちます。
これも1kg以上あれば頭内臓とっても翌日くらいは大丈夫です。
もっと持たせたい場合はさわらないことです。
エビ類
基本水にさらすと鮮度落ちるので刺身にするときは水にさらしたくないものです。
塩水をかけると発色よくなります。
店売りする場合は真水をかけるのは厳禁です。
甘えびなんかだと白っぽくなるからです。
皮をむくときに真水をかけますがかけたらすぐに皮をむくというのが基本です。
どうしても翌日刺身にしたいというなら殻付きのまま頭だけをとっておいておくのもありです。
もちろんそのときは真水で洗います。
イカ類
イカ類は水にさらしたらダメでしょう。
もし水にさらしたらその日のうちに最後まで処理してください。
ただ刺身用に皮を剥いておいて翌日に持ち越すというのはありだと思います。
まとめ
一般的には魚は当日でないとダメと思われているかもしれませんが、そんなことはありません。
ひどいものでない限り翌日でも料理できますし、魚によっては刺身にまでできます。
そしてできるだけさわらないほうがいいということもあります。
無理に手をかけて鮮度を落とすくらいならそのままにしておいたほうがいいということを理解してください。
そうすればより鮮度のよいものを扱えるということになります。
とにかく真水扱いにはくれぐれも注意してください。
<終わり>
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