つくづく思いますが水産部門は数字に弱い人が多いです。
自分が弱いだけならいいのですが後輩や部下たちが数字の話をしようとすると魚屋はキッタハッタができればよいというようなことをいって冷や水を浴びせるような輩がいると最悪です。
実際自分がわからないことを後輩や部下がわかるというのがイヤなんでしょう。
せめて最低限の数字くらいは使えるようにしてほしいですね。
魚屋に入ったばかりの人たちも本当はいろいろ教えてもらいたいですよね。
中級者でももっと数字のこと知りたいという人はいっぱいいると思います。
そんな悩みを解消するべくこのさかなのさで分かりやすく数字の解説していきたいです。
今回はシリーズの2回目
ロスの意味をやります。
業務で非常によく使う言葉なのでここでしっかり覚えていってください。
ロスとは
ロスとは本来得られるはずの売上高から実際の売上高を引いた金額をいいます。
ロスは一定の範囲で必ず発生するものです。
このロスが多いとその分売上が減りしいてはその売上高の中にある利益も減ってしまうという関係にあります。
ただ、このロスは発生原因により売り手の方でコントロールできるので小売業の計数管理上非常に重要な指標になります。
簡単にいうとロスをうまくコントロールすれば利益をうまく残せるのです。
ここが一番担当者の能力で差が出るところといっても過言といえないでしょう。
ではロスにはどんな種類があるのでしょうか?
ロスの種類
ロスの種類は次の通りです。
- 値引きロス
- 廃棄ロス
- 不明ロス
もう一つ、
- チャンスロス
というのもあります。
これは得られるはずの利益が得られないという意味のロスです。
このチャンスロスもロスのうちに入りますがプラスのはずがプラスにならなかったという意味なので他のロスと意味あいが違います。
値引きロス
値段をつけた商品の消費期限が近づいて商品をさらに売れるように値段を引いたことによって発生する金額を値引きロスいいます。
お刺身をはじめパックのお魚など全ての商品に値引きシールは貼られるという意味で必ず発生するものといえます。
必ず発生するものなのでロス率という形で売上に対してどのくらいの割合になるかで管理します。
このロスが多少大きくても売れてくれれば被害は少なく済むという意味である程度数値が大きくなっても許容されるべきものと考えます。
廃棄ロス
値引きだけでは全て売れきれず消費期限が切れて残ったものの金額を廃棄ロスといいます。
このロスは最悪です。最も利益を逼迫させるものなので可能な限り削減に努めたいです。
商品にもよりますが多くて10%以内には抑えたいところです。
不明ロス
ここでは見切りロスと廃棄ロス以外の全てのロスを含みます。
その意味で広い概念です。
その中で一番大きいのが万引きでの消失金額です。年間にするとバカにならない金額となるので被害が大きいところでは監視カメラ等の設置と告知など対策を講じる必要になる場合があります。
目減りロスという形もここに含まれます。
例えば、伝票上のキロ数より実際測ると少ない場合などです。
乾燥して水分が減って目減りすることもありますし、伝票の数量より実際に入ってない場合などもあり得ます。
下手くそな人が魚をおろす場合も予定の目方に足りないということがあります。
これ全て不明ロスの中に入ります。
ロスを減らすには
ではどうやってロスを減らしたらいいのでしょうか?
一番着目してほしいのが廃棄ロスです。
このロスが利益に対して一番ダメージが大きいです。
原価金額まで逸失してしまうからです。
廃棄ロスが出る原因は端的にいうと作り過ぎの場合が多いです。
計画数量の正確さが大事になります。
ロスを全店比べるときは率で見る
複数の店舗を持つ場合、売上の大小があるのでロス高(金額)で見るのでなくロス率で見ると各店のロスの評価をしやすくなります。
ただ、注意しないと次のようなことを店の担当者は恐ろしいことを考えはじめます。
ロス率減を強制しすぎてもダメ!
強くロスを出すなというと鮮魚担当者は店に商品を並べなくなります。
実際品物を出さなければ数字上ロスは減るからです。
もちろん品物出さなければ後々売上も減っていくので本末転倒やってはいけない行為だと思いますが魚屋の賢い輩は目先のロス率を減らすといってそんなことをやったりします。
タイミングよく出さなくても売上が上がる場合があったりもします。
例えば競合店が何らかの理由で通常営業できなくなったりした時などは店全体として客数が伸びるわけですがこういうときは鮮魚部門は品物を出さなくても売上が上がるということもありえるわけです。
しかしこれは後ろ向きのロス減らしでしかないので後々痛い目にあうわけです。
さらに賢い人は、人事移動の時期などにやったりします。
本人いなくなるので責任は追求されにくいという算段をするわけです。
これは上のものが見抜かないといけません。
ロスの本当の意味
このロスの本当の意味がわかっている人は少ないかもしれません。
あるべき売上高(売価)という概念があって初めてこのロスが算出されるのです。
本来この前提に伝票売価があります。
この伝票売価を積み上げてあるべき売上高を出さないといけないはずです。
伝票売価の積み上げ=あるべき売上高になるのです。
ところがそもそも鮮魚の伝票売価がないところが結構あります。
そういうところは値引きロス+廃棄ロス+不明ロスとして、
把握することになります。
不明ロスをどうやって把握するのかというと過去のデータをもとにある計算式で算出されます。
ただこの場合は少し数字がブレます。本当のロスの数値が見えません。
本当のロス金額を把握するためにも本来伝票売価をつけるべきということになります。
そうでないと逆ロスと言う言葉も使えません。
ちなみになぜ鮮魚部門で伝票売価をつけないことがあるのかという点については、
- 伝票売価がない方が店が値段をつけやすい
- 団体系のお店など利益を強く求められない
- システム的に伝票売価を作る仕組みになっていない。
ということがあります。
しかし、利益をしっかり残さないといけない店やスーパーは生鮮にも伝票売価を入れる仕組みを必ず採用するのでしょう。
ちょっとここは別の機会に詳しく解説しますね。
まとめ
ロス率を減らせと単純にいうのは得策ではありません。
商品を出さないのが一番ロスが減るということをみんなわかっているからです。
最悪の考え方ですが結構そう言う人多いです。
攻める売場を作るとどうしてもロスも多くなります。
このロスのしっかり管理しなければザルのように利益が喪失されていくわけです。
そこで私はこう考えます。
値引きロスは多少増えてもいいが廃棄ロスは減らすべき
と考えます。
とにかくダメージの大きい廃棄ロスを減らすべきです?
そのとき値引きロスが増えてもいいのです。
そうしないと冒険できず消極的な売場になって魅力なくなってしまいます。
その見極めが難しいところですがせめて売場担当者が伸び伸びやっていける方がプラスになると思います。
\ 次に読んでほしい記事はこれ! /
<終わり>
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