
塩干をしっかり覚えたい、塩干売場の基本を学びたいという人が多いと思います。
しかしながら覚えたくても塩干について詳しく書いてあるテキストというか著作物も含めて教科書が少ないものです。
もちろん、高いお金を出せば専門書のようなものもなくはないですが塩干をやり始めたばかりの人や売場をまかされたばかりの人がそんなものを見る機会ないわけです。
実際に売場を作る中で上司や先輩に聞くしかないですがその上の人たちもわかったようでわからないというような状況だと思います。
そもそも時間がなくて教えてもらえないことでしょう。
そこで今回は塩干をどうしてマスターしたいという人に向けてこの道を極めたリッキーが塩干について全体を網羅しながら初めての人にもわかりやすく解説してみたいと思います。
目次
塩干の本質はこれ!

最近リッキーはスーパーの鮮魚塩干売場を一眼見ただけでその売場のレベルがわかるようになりました。
売場を見ただけで売上と利益がどれだけか判断できます。おおよそですがパターンも把握しているので誤差はそんなにないはずです。
もともと塩干商品というのは鮮魚に塩をしたり、干したりして保存性を高めた商品で保存食です。
まずはこれが塩干の本質であり基本になります。ここを押さえてください。
実際にその特徴を捉えられている売場がやはりしっくりするというかわかりやすい売場になっているようです。
そして最初は塩漬けが基本だったのでしょうがそれだけでは味が単純なのでもっとおいしくできないかということで身近にあった味噌や醤油を使って味付けの幅を広げたわけです。
それが味噌漬け、醤油漬け、味醂漬けということです。
これが浸透して塩干商品の定番として長らく愛用されてきました。
それがさらに最近では焼魚の身をほぐしたり、さらには味付け数の子とチーズを合わせたりしてバラエティに富んだ商品化がなされるようになったのです。
もはや、日配商品との区別さえつかないようになっています。
ただここの見方を間違えると売上がなかなか上がらないということになります。
塩干品の季節感
塩干品はその季節季節でメインで扱う商品が変わっていきます。
その特徴をしっかり捉えないとすぐに売上が下がってしまいます。
なれてない人が担当するとまず売上が落ちるのはこのせいです。
例えば冬場に中華クラゲを平台展開していたりすれば売上は下がります。
逆に夏に身欠きニシンや粕漬けの漬魚を売ろうとしてもなかなか売れません。
そういった商品がたくさん塩干にはあります。
まずは、季節を意識することが塩干売場では重要になります。
鮮魚の場合は勝手に魚が変わっていってくれますが塩干の場合は自分で変えない限り変わりません。
本部の棚割り指示があるところはいいでしょうがあまり完成度も高くないこともあって自分でやらなければならないということもよくあります。
まずは、季節を意識してください。
塩干商品と日配商品の違い

実はここ大事なのです。
塩干が売れなくなる原因の一つにこの日配との区別がつかなくなっているというのがあるのです。
今の塩干売場を見ると日配部門と変わりないようですが、実はこれまでの経緯を見ると商品の性格が全く違うのです。
その扱いも全く違うということになります。
この違いが売価設定、発注方法などいろんなところに影響してくるわけです。
極端な言い方をすると塩干品を日配品と同じと考えるとまず売上は下がリます。
一言だけ塩干と日配の最も大きな違いは素材にフォーカスするか否かという点です。
ここは大事なところで長くなるのでまた別の機会に記事にしたいと思います。
塩干は地域によって売場が違う

塩干売場の面白いのは海に近いお店と内陸部というか山間のお店で売場がずいぶん違うところです。
やはり海から離れれば離れるほど塩がキツくなるというイメージです。
最初にも申し上げましたがもともと塩干商品というのは日持ちをさせるための保存食です。
なのでその地域によって魚の持たせ方が違うということで塩加減も違ってくるわけです。
この流れを押さえることが塩干売場をブラッシュアップする上で非常に大切になります。
売上高についても通常は鮮魚の比較でいうと鮮魚7:塩干3くらいかと思います。
山間のお店だと鮮魚5:塩干5というところもあります。
会津のスーパーがこんな感じだというのは聞いたことがあります。
リッキーは経験ないですが塩干7:鮮魚3というところもあるかもしれません。
ただ、ここまでくると専門店になるのでしょうか?スーパーではなかなか考えにくいのかなと思います。
どれが正しいのかというのはないと思います。
その地域ごとに違うわけですからその地域の基準で見ればいいと思います。
ただ、一般的には塩干の値入れの方が高いということなので塩干比率が高い方が部門全体として利益が高くなる傾向はあると思います。
※ここで部門全体というのは鮮魚と塩干を合わせた水産とか海産という上位の大分類がある場合です。
塩干と地域の食文化
塩干品は非常に地域の食文化との関係が深いです。
北陸で昆布巻きがよく作られるのは北前船が北海道の昆布を運んでくれたという歴史があるからですし、塩ぶり・塩ガツオというのも魚がその土地で獲れるからです。
明太子、たらこから始まってからすみ、クチコ、ばくらいなどもやっぱりその土地と密接に関わったもので加工されるものです。
塩干品を見るときはその土地の食文化というのもみておくと理解しやすいと思います。
それぞれに物語があったりするので非常に勉強するのも楽しいのかなと思います。
もちろん直接ではないにしても塩干売場にそれらが表現されるというのは大事なことだと思います。
プロは塩干売場のここを見る!
塩干売場がチャンとできているか?
適正な売上コントロールができているか?
攻める売場のプロが見るときはまずここをみます!
縦割り陳列がしっかりできているか
塩干コーナーの縦割り陳列できているかどうかを見ればわかります。
商品が横に飛び出てグチャグチャになってないかをまずみます。
グチャグチャになっている店は大抵塩干売場をみてないかほったらかしになっている管理されてない店です。
そもそも塩干売場に集中してないわけです。
そんなんで売上が上がるハズないですよね。
以前も紹介しましたが利益というのは数値コントロールのスキルの問題です。
荒利率は人の管理能力で決まります。
要は店の規模が違えど数値管理ができているかどうかを判断するには縦割り陳列ができているかどうかにかかっていると言っても過言ではありません。
ただ、そもそも管理できてない店が多いのです。
だから縦割り陳列ができているかどうか見るだけでその店の売上と利益立が大体わかるのです。
塩干売場のレベル低下の現状
令和に入ってからのスーパーマーケット・量販店の塩干売場をみるとひどい状況になっている店が多くなっているように思います。
正直、塩干売場にかまってられないという店の思いが売場に端的に現れている店をよくみます。
今の塩干の問題は表面上は人手不足なのかもしれませんが、塩干を知っている人材も少なくなったということもあります。
どのスーパーも鮮魚は力入れて人は投入するけれど、売上規模の小さい塩干には担当者すら与えないというのが現状なのかなと思います。
経験と知識が必要な塩干をしっかり教えられる人も少なくなっているのかもしません。
本当は塩干の方が難しいのにややもすると日配と同じようにやっていたりします。
ここはこのさかなのさでもチャンとレクチャーできる形を作っていかないといけないと思っています。
塩干の在庫管理
一般的に塩干の許容される在庫日数は5〜6日です。
なかなかこの数字は公開されないと思いますのでこっそり教えちゃいます。
某スーパーマーケット関連の協会でも使う指数です。
5〜6日売ると在庫がなくなるという意味です。
それより多いところは在庫持ち過ぎということです。
反対にそれより少ないところは少ないのはいいがチャンロスが頻発しているということです。
塩干は冷凍在庫が必要なので鮮魚に比べて在庫日数が多くなりがちです。
これは会社によっては資金繰りに影響するので厳しく管理するところもあります。
だいたい棚卸しの時に在庫を減らすので少なめになるのかなと思います。
一応この数字は覚えておいてください。
後々消してしまうかもれません。
塩干商品は夕方動く
塩干商品は夜動くという言い方もします。
次の日の朝ごはんに使えるものが多いからです。
塩鮭、開きあじ、明太子たらこ、しらす干しなど。
ということは本来売場的にいうと夕方しっかり売場を揃えておかないといけないということです。
しかしながらMH(人時)を削ったりする店だと朝並べて夕方人がいなかったりするので補充ができず売場がボロボロ状態になっていたりします。
それも塩干の売上を落とす一つの要因になっていると思います。
上記に挙げた4種類は絶対欠品させないというルールというか志を持つだけでも塩干の売り上げは上がるものです。
曜日問題
いま塩干だけでなく、スーパーマーケットがかかえる大きな問題が平日セールのない日のスカスカ、ボロボロ売場問題です。
大手スーパーマーケットを中心に週末、来店の多い日に合わせて売場を作っているので平日火曜市以外の売場がボロボロ、スカスカでひどい売場になっているということです。
みんな認識していますが、どうにもならずそのままに放置されているのがほとんどです。
これを解決するためには平日の来店数をあげるか、売場をうまく活用するしかありません。
前者は鮮魚が強力に繁盛するようになれば解決します。後者は結局人時の投入しかないですが、そのためには売りの仕掛けが必要です。
いずれにせよ。なんとかしようという問題意識を持つ人がいないと悪循環のままですね。
塩干の分類
塩干の一般的な分類を紹介します。
そもそも分類は各企業の戦略に基づいてつくられるので正しいものは存在しません。
また、大分類、中分類、小分類、クラス、カテゴリなどいろんな言い方があります。
ここでは塩干の中の分け方です。
それを前提に見てください。
- 塩鮭鱒(しおけいそん) ・・・ 鮭フレークをここに入れるかはそれぞれ
- 魚卵 ・・・ たらこ、明太子、いくら、数の子など。鮮魚にする場合もある。
- しらす・ちりめん ・・・ これを独立させるかはそれぞれ
- 丸干し ・・・ ハタハタ、シシャモ、メザシなど
- 干物 ・・・ 丸干しも含めるか? 開き干しだけにするか?塩サバフィレは?
- 漬魚 ・・・ 切身だけか? 醤油干しは干物(開き干し)か漬魚
- 焼魚・鰻 ・・・ 鮮魚でやるところ塩干でやるとこに分かれる
- 冷凍塩干品 ・・・ 各分類の中で見るか?独立させるか?
- 海藻 ・・・ 味付け、塩蔵、乾物。どこまで入れるか?
- 酢蛸 ・・・ 鮮魚にするところもあるがこれをどこに入れるか悩む
- 季節品 ・・・ あったほうがいいかも。
- 生珍味(加工品) ・・・ 範囲が広いのでもっと絞れるか?
太字のものは最低限あった方がいいと思います。
ここを触れる人は少ないかもしれませんが、深く考えていくと迷宮に入ることがあります。
身欠きニシンや塩サバフィレ酢蛸をどこに入れるかとか厳密に考えると悩みます。
炙って食べるあじ味醂やししゃも味醂なんかも漬魚か珍味か悩みます。
また鰻関連商品を入れると夏場、塩干の売上が鮮魚より大きいということになります。
それもどうかなと思ったりします。
個人的には店内で焼いたうなぎ蒲焼きも売りたいので鮮魚であった方がいいと思いますがどうでしょう?
要冷蔵の焼魚も増えてきているので冷蔵が前提の塩干で管理しようということのも一理あります。
地域で特徴のある塩干品も多いのでここは理論的体系的な考え方ができる能力が必要なところです。
塩干売場のヒントの小技
ちょっと塩干売場を作る上での売上アップにつながるヒントを紹介しましょう。
・最近はバラ売りも冷凍にしてやっているところが多いです。
・自店でやる干物製造機はナンセンスです。一時ブームになりましたがやめた方がいいです。
・基本的に真空パックは売りにくいものです。
・明太子、たらこを2メーカーおくときはメーカごとに並べるのが基本。明太子、たらこでまとめない。
・乾物などのロングライフの商品で新しい日付が出たら前のものは賞味期限が残っていても前の日付のものに見切りシールを貼った方がロスは少ない。
ここはまだまだノウハウありますので思いつき次第内容追加していきます。
塩干業界の闇⁈
塩干を長年やっているリッキーにとっては業界の裏の裏も知っています。
特に塩干品は日持ちをさせるという前提の商品なのでいいことだけでなく悪いこともする業者も数多く存在します。
ただ、表面に出ないだけです。
おかげさまでリッキーの今関わっているところはチャンとしているのでそう言った問題はないですが、実際見えないところで行われてるのでここはしっかり問題提起していきたいところです。
驚くべきことに今の時代会社自体なくなってしまう可能性のある日付の改ざんや表示の偽造すら今なおやっているところがあるようです。
例えば、田作(海干)や塩数の子を返品受けるところがあるのですがその後どうなるのでしょうか?
お土産屋さんで納入先に日付切れの返品を求めることがある聞きますがその後はどうなると思いますか?
もちろん賞味期限内にちゃんとした製品にしているところもあります。
しかし、日付が切れたものを返品するというのはどうなんでしょうか?_
やはり、食品を扱うものはしっかり自覚バランス感覚を持つべきでしょう。
業界の常識、世間の非常識
確かに廃棄になれば自分の成績が下がったり、上の人に怒られたするのも嫌でしょうがここは割り切るしかありません。
人間弱いものというのもわかりますが後々の大きなマイナスを考えたら目先に損得で考えるのはダメだとも思います。
企業自体も不正で得た利益を求めないという体質をトップ自身が本気で作らないと新たな悲劇が起こりかねないです。
返品に対するチェック体制を確立すべきです。
実は食品ロスという言い方も微妙に影響したりします。
まだ食べられるしもったいないから再利用していいと訳のわからない理屈をつけているとしたら間違いです。
そうだとしても一度つけた日付が切れたものは再利用すべきでないです。
そんなものを使わなくても利益をしっかり残すことはできますから。
まとめ
塩干は最初は簡単なように思えますが実は難しい部門です。
作る時期が限られていて、製品ごとの状態に差があるからです。
チョコレートを工場で作るのとはわけが違います。
在庫を前提としているところもさらに難しくさせるところです。
やはり経験値と豊富な知識が必要となります。
値段ばかりで考えるとお客さんは離れていきます。
覚えるためにはまず、塩干品を食べてみることが一番早道です。
塩干に詳しい人もずいぶん少なくなりました。
ということはみなさんの中で塩干を詳しく理解し経験したという方がいればおそらくそれで飯は食っていけるということなのかもしれません。
これからさらに塩干について知っている人が少なくなるということなので重宝されるのは間違い無いと思います。
リッキーもそういう方々にパフォーマンスを発揮できるステージをこれから作っていく予定です。
楽しみにしていてください。
まだまだ、有益な情報出していきますよ!
まずは塩干売場の縦チンをしっかりマスターしてくださいね!
これが塩干売上UPのキモですから。
<終わり>