スーパーマーケットで買った刺身盛合せが美味しくなかったいう経験をされた方も多いと思います。
せっかくおいしいと思って買ってきたのにがっかりですね。
子供たちにもやっぱり食べてくれないわ!という嘆き。
なんでこんなおいしくない刺身盛合せを作るのでしょうか?
最初の結論をいうと現場担当が原価を下げようと安いネタを盛合せにいれるからなのです。
想像通りです。
でもなんでこうなるんでしょうさらに深堀りしてみたいと思います。
いい悪いはともかく、実はこれには最近のスーパーマーケットが抱えた大きな問題が根っこに大きく立ちはだかっているからです。
スーパーマーケットの鮮魚をみてきて50年の、しかも現役バリバリのリッキーがその教育的指導というか業界に警鐘を鳴らす意味ででその深い闇の部分を白日のもとに晒したいと思います。
目次
スーパーでは部門ごとに利益率を厳しく追及される。
スーパーマーケットも会社である以上各担当者は数値責任があり、部門ごとに目標数値すなわち予算というものが存在します。
特に大手スーパーマーケットは店がたくさんあったりするので社内での競争は激しいものがあります。
例えば数字が悪い人は小さい店に飛ばされたりするわけです。
また上司もその上司から予算達成を求められています。
そうすると部下に数値達成の要求が厳しさを増すわけです。
特に店舗が多い店では利益率という儲けの割合が低いと知った激励を受けるわけです。
利益率は利益高を売上で割った数値です。そこでは少ない原価で高い利益を出すということが最高の評価を得るわけです。
またこの利益率は複数店舗あるスーパーなどがそれぞれの店の能力を比較するのに都合の良い指標です。
したがってみんな利益率をどうやってあげるか頭を捻って頑張るわけです。
鮮魚部門での価値観
お刺身の製造を担当する鮮魚部門でもこの利益率という指標は非常に意識する数値になります。
怒られたくないし、良いところも見せたい。そんな気持ちは当然みんな持つと思います。
そうすると何をするかというと、
まず利益率を落とさないように売れ残り(ロス)を減らそうとします。
これは作り過ぎを反省したり、計画の修正をしたり日々調整するわけです。
次に利益率の高い商品の割合を高くして利益率をあげようとします。
利益の薄い商品には力を入れず利益率の高い商品を売場にたくさん出そうとします。
そこで利益率の高いお刺身が威力を発揮するわけです。
お刺身は丸魚を加工して生で食べれるように付加価値をつけるので一般的には利益率が高い商品ということになります。
1尾100円のあじを三枚おろしにして皮を剥いて刺身にすれば398円で売れるわけです。副資材を入れても倍以上で売れるわけです。
これは極端な例かもしれませんが概してお刺身にすると利益が多く確保でき多少残って廃棄したとしても高い利益率が残るのです。
ここまでなら普通どこのスーパーマーケットでも同じようなことが行われています。
これはこれで正当な営業活動と言えます。
安いネタで盛合せ
問題なのは利益を残すためにもう一つ面白くないことを考える輩が出てくることです。
利益率を上げるために美味しいかどうか関係なしに刺身を作るのです。安いネタでとりあえず売れる刺身を作るのです。
なんでかというとその店の利益率が低かったりすると、
そろそろなんとかしないといけないななどと言われるのです。
まあまあ、これも普通にありうる話で威圧的でなければ問題にはなりません。
本来なら切り方のスキルをあげたり、ネタを吟味したりして付加価値をつけて利益を取るというのがやるべきことです。
にもかかわらず、力量のないチーフなどは人もいないし、手っ取り早く原価を下げればいいと安いネタを使えば利益が残ると考えるのです。
力量があっても短絡的に安いネタでやろうとするのです。
例えば、「お刺身旬鮮盛合せ」とか「お刺身3点盛合せ」とか聞いたことありますよね。
みなさんの近くのスーパーにも出ていませんか?
なんか安い刺身盛合せだったりしてまあ一見美味しそうに見えたりします。
しかし、そこで選ぶネタが面白くないのです。
いわゆる美味しくない魚なのです。利益がとりやすいという理由でそう言った魚をチョイスするのです。
悲しいですがよくある現実です。
お客さんが食べて美味しいかどうかということはそこでは全く考えていませんので全く自分の成績のため会社に要求されるためにするのです。
それでとりあえず体裁だけはとれているおいしくないお刺身3点盛り合わせが売場に出てくるのです。
結果美味しくない刺身盛合せができる
例えばよくあるのは、3点盛りでするめいか、カマス、いわしとかの3点盛りを作ったりする店です。
あれ!なんでこれじゃダメなの、私これ好きだからいいじゃないという人もいらっしゃると思います。
しかしこれらの魚は食べて美味しくないのです。美味しくないから仕入れ値が安いのです。
どう美味しくないかというと、
例えば「するめいか」はいかの中では固いイカなのでいか刺身の中では人気がありません。通常盛合せにはNGとされています。さらにするめいかはアニサキスも多く危険レベル高いものです。それを刺身にしてどうするんだろうと思います。自宅でするならともかく店で売るときは少なくとも冷凍をかけるとかしないといけないのに生でやるってるわけです。家でやるのとは違うんですよと言いたいです。※最近は生でやるところ少ないですがいまだに生でやる店もあります。
また、いわしなどは新鮮な朝どれとか使ったりして一見新鮮なようにも思います。しかし、特に春先なんかは日本海側のいわしなんかは痩せて脂がなくスカスカの身だったりします。真っ赤ないわし想像できますね。時期外れだから仕入れも安い。私なら食べたくありません。しかもこれにもアニサキス がいて被害が多い魚の一つなわけです。
さらにカマスは秋口の大きなサイズは脂がのって美味しくて別ですがそれ以外の時期は水っぽくて美味しいと思ったことありません。実際味も素っ気もないと思います。
このような時期的にも美味しくない魚を盛合せにするのです。
それも朝どれを使うのがパターンです。
朝どれって聞こえはいいですが魚としては痩せていたり脂がのってなかったりおいしくはないことが多いです。
鮮度がいいだけまだマシですが、魚屋の裏事情でいうと安いから使うのです。
これは正当な商いだと言われればそれは否定はしません。
また冷凍物使うよりいいよ、生ネタだからいいと思うという人もいるかもしれません。
でも美味しくなく、しかも危険性もあるものをセレクトして安さ朝どれをアピールしてもどうなのかなと思ったりします。
店舗規模が大きくなればなるほどおいしくない刺身が並ぶ
こんなことしているからスーパーの刺身はまずいと言われるわけです。
特にするめいか、いわし、カマスの3点盛りを出しているお店があったらそこは信用しないでください。
上記3種類のうち2つ入っている盛合せを出しているお店も同じです。
あと、カレイを入れたり、ボラを入れたりB級どころかD級魚でする店もあります。
そんなネタでなくても安くて美味しい3点盛りは作れますから。
まあ、お客さんもバカじゃないからそんな価値のない刺身を作っても美味しくなければ淘汰されるんでしょうが朝どれ!とか旬!とかシールがついてると売れちゃうんですよね。
こういうことをするのは大手スーパーマーケットに多いです。
まとめ
地方の良心的なスーパーマーケットの方がチャンとやってくれています。
地元で魚で評判の店とかありませんか?特に刺身が旨いと言われるお店はこういう美味しくないものを出しません。
ちゃんとしたプロがいるお店であれば時期や魚自体を見て美味しくて安い盛合せを作るはずです。
最近は少なくなりましたがさかなが良いとされている地方のお店の方がおいしいお刺身期待できそうですね。
ここでもやっぱり魚は地方がおもしろいんですね!
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<終わり>
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