刺身食べてますか?
みなさんはどんな魚のお刺身が好きですか?
刺身ってなんでこんなに美味しいんでしょう。
毎日欠かさず刺身を食べているという刺身好きの人もいるんでしょうね。
目次
お店でいろんなお刺身が並べられている
ところで、海に近いスーパー、鮮魚店で刺身売場をみるといろんな変わった魚のお刺身が売られていたりします。
珍しくておいしそうで羨ましいなと思うことがあります。
ただ、長年やってきたプロとしてみると、この魚本当にお刺身にして大丈夫?と思うものが多々あるものです。
普通のスーパーでもこの魚の刺身よく出すなと思うものもあったりします。
この店は結構冒険しているな!と思うわけです。
※冒険=一般的には刺身しない魚を提供している
もちろん、どの魚を刺身にするかはその土地によって違いますし、その土地でやっている食べ方がおそらく正しいのだと思います。
しかしながら本当によく理解してやってるでしょうか。
特に地方のスーパーなどでは鮮度がいいというだけで何でもかんでも刺身にする店が多いのです。
マジかという感じです。
一般のお客さんを相手に販売するときは、
刺身の安全性というものが最優先事項
なわけですね。
ある程度慎重にならざるを得ない部分もあるわけです。
だから刺身で販売すべきでないものも当然出てくるはずです。
一見刺身になりそうだけど刺身にしないほうがいいものもそれなりにあるわけです。
そういう知識もないまま刺身にしている店はどれほど多いことか。
ある意味、警鐘を鳴らさないといけないわけです。
今回はそういったお店に注意喚起をする意味でも刺身にしてはいけない魚を取り上げて紹介したいと思います。
ちなみにそもそも刺身になるかならないかの基準については過去に記事を書いているのでこちらも参考にしてみてください。
>>刺身にできるか迷ったときチェックしてほしい5項目〜鮮度いいだけでは危険!
売る側の論理 〜無理してでも刺身を出したい理由
まず、実際に売る人たちがどういった思考回路をたどっているのかみておきましょう。
スーパーや鮮魚店など売る側の考え方はこうです。
「刺身にすれば儲かるからとりあえず鮮度さえよければ刺身にしてしまえ!」
「ロスを出すなと上に言われるから刺身で利益を稼ごうよ」
です。
売る側は刺身にすればとりあえず利益を残せると考えます。
パックして煮付けや塩焼き用で売るより刺身にしたほうが儲かる=利益が残るという考えが強いのです。
例えば、中あじを塩焼き用で売るときは100〜198円ほどでしか売れないと思うわけです。しかし刺身にすれば398円になるわけです。
この理屈はわかりますね。
全国の魚屋さんは基本できるだけ刺身で儲けようと考えるわけです。
その前提には会社から利益を残せ!ロスを出すな!とハッパをかけられている実情も書き添えておきます。
担当者の中には自分の成績を上げようとして鮮度さえ良ければ片っ端から刺身にしてしまうという人もいるのです。
オイオイ、ちゃんとわかってやっているのかよという感じです。
我々プロからするとそういった売場は見ただけでわかります。
非常に怖い話です。
ただなにを刺身にしていいか悪いかについては、フグのような明確な規制みたいなものは一部を除いてないのが現状です。
鮮度を含めて一般の魚は担当者に刺身になるかどうかの判断を任されているのです。
一応各会社のルールらしきものはあると思います。
ところが会社によって現場任せになってしっかり考えられてなかったりするのです。
特に中小の会社なんかだと魚屋に任せっきりでそもそもルールがないというところさえあるのです。
そうすると珍しい魚の刺身が売場にたくさん並ぶわけです。
すみません、ちょっと皮肉はいってます。
知らないお客さんからは珍しいお刺身があって種類豊富な店だわ!となるわけです。
ただ最近ではアニサキス 症の問題が世間をにぎわせているので少し緊張感は出てきたようではあります。
いずれにせよ担当者の知識不足もあって、珍しいいろんな魚の刺身が売場に並ぶ可能性があるのです。
まさに自由奔放。
結局お客さん自らがその中から取捨選択を迫られる、または大丈夫なものを選択しなくてはいけないということになるのです。
どの魚の刺身が大丈夫でどの魚がダメなのかしっかり知識をつけて自己防衛しましょう。
そもそも販売が禁止されている魚
食品衛生法で販売が禁止されている魚というものがあります。
オニカマス、バラムツ、イシナギ、アブラソコムツなどです。
これらは部位によって販売が禁止されていたりします。
バラムツがやばいというのは結構知られていると思いますが、イシナギやアブラソコムツはそこそこ食べられているような気がします。
部位的な問題でしょうか。
こういう時は公的機関の資料を見るのが一番です。
まずはこちら↓から
>>東京都福祉保健局 厚生省通達により措置が定められた魚介類
さらにこちら↓の資料には図が入っているのでよりわかりやすいです。
>>東京都福祉保健局パンフレット「市場で働く方へ有毒魚介類の見分け方」裏表紙
ただ実際全国の魚屋さん、スーパーの鮮魚部門の人たちがこれらを知っているかと言うと?疑問符がつくような状況です。
おそらく知らない人が多いような気がします。
魚屋のみなさんどうでしょう?
こういう情報も上の方や偉い人で止まっていたりして現場までおりてこなかったりします。
だいたいそんなものです。
だからこそこうやって「さかなのさ」で注意喚起するのですが。
前置きはこのくらいにして個別に見ていきましょう。
シガラテ毒を保有する魚
シガテラ毒の主な保有生物はバラフエダイ、バラハタ、ウツボ、カマス、サザナミハギ、ギンガメアジ、オニカマス、イシガキダイ[8]、ヒラマサ、ブリ、ネムリブカなど、400種類以上にのぼる。
ウィキペディアより
これらは毒を持っているので食べないでください。
食べるとどうなるかというと、
シガテラ毒素をつくるプランクトンを食べた魚の内臓や筋肉にシガテラ毒が蓄積され、その魚を食べることでシガテラ中毒を起こす。
川崎市HP魚による食中毒 ~有毒魚~より
症状は下痢、嘔吐、関節痛、倦怠感、温度間隔異常、麻痺、昏睡など。
港などでたまに水揚げされるので注意が必要です。
くれぐれも販売しないでください。
その他販売が禁止されている魚
ワックスエステル脂質
他にオオクチイシナギ、バラムツ、アブラソコムツも販売禁止されている魚です。
この辺の魚はワックスエステルという脂肪を持つので人間の胃の中で消化されないためお腹がピーピーになちゃうということです。
経験した人に言わせるとお尻から水が出てくる状態になるとのことです。
恐ろしいですね。
パリドキシン毒
また、青ブダイは肝臓や消化器官に含まれるバリドキシン毒により販売自粛指導されている魚です。
禁止までされてないけど注意が必要な魚
ここの情報をまとめたものが少ないですね。
ある意味貴重な情報ということになります。
アブラボウズ
食べることまでは禁止されないけれど注意が必要な魚はアブラボウズです。
とても脂がのってとても美味しいとされています。
最近では回転寿司でもメニューに載ったりもしているようです。
スシロー「とろとろ祭」に深海魚アブラボウズ登場
スシローの「とろとろ祭」では、国産天然のアブラボウズを使用し、白身にのった脂の旨みを存分に感じられる“生”と、醤油を塗って表面を香ばしく炙った“焦がし醤油”の2種類を合わせて、一皿150円(以下、価格は税別)で提供 する。
食品産業新聞社2021年3月2日
しかし脂が強いので食べすぎたり、体質的に合わない人だと下痢をしてしまいます。
また肝臓は食べてはいけないと言われています。
この記事も参考になりますので紹介しておきます。
回転寿司で話題の深海魚『アブラボウズ』 アブラソコムツとの混同は厳禁
アブラボウズの脂肪の大半は「トリグリセリド」であるのに対し、アブラソコムツの脂肪の大部分は「ワックスエステル」というもので、脂質として全く異なるものです。トリグリセリドはいわゆる「中性脂肪」の一種で、我々ヒトが消化可能であるのに対し、ワックスエステルは多くの人が消化することができません。
TSURINEWSより
ナガヅカ(卵巣)

ナガヅカという魚自体知らない人が多いと思います。
あまり流通はしていないようです。
カレイやソイを釣るときに釣れることがあるので釣りをする方はご存知かもしれません。
この魚の卵巣にジノグリネンという毒がありあます。
食べると嘔吐、下痢、胃痛など胃腸障害を引き起こす可能性があるので注意してください。
卵は廃棄してください。
札幌市のHPでも注意喚起されています。
さかなのさ過去記事↓
>>ナガヅカ SNSで紹介されていたこの珍しい魚を市場で偶然発見!衝撃の真実がこれ!
アニサキス被害が多くて刺身で食べないほうがいい魚(いわし、するめいか、しめ鯖)
これは今の時代しょうがないですね。
特に朝どれの魚の刺身でよく被害が出ています。
なぜかというと新鮮ならアニサキスは身にいないだろうと担当者はタカをくくるからです。
実は小売店で出るアニサキス被害のほとんどが朝どれの魚だったという事実は知られてないところです。
最近のアニサキス被害のニュースを連続で見ていて気づきました。
リッキーに言わせると朝どれこそアニサキス気をつけなければいけないと思っています。
生で刺身食べたい気もわかりますが、その時はそのリスクをしっかり理解して食べましょう。
どうしても刺身で食べたい場合は冷凍かけることをオススメします。
それも二晩冷凍かける必要があります。
最近は保健所でもそのように指導されています。
もっと詳しく知りたい方は下の記事をどうぞ
スーパで売っているけど刺身で食べない方がいい魚7選
スーパーで普通に置いてあるけど刺身で食べないほうがいい魚を挙げておきますね。
ニュアンスとしてはスーパーや魚屋さんでなにげに売られているけどやめた方がいいですよレベルの魚です。
絶対食べてはいけないというわけでもありません。
みなさんに注意を喚起しながら販売するお店に対しても販売の抑制を促したいということです。
あくまでリッキーの長年の魚屋経験上やめてほしいということです。
もしかしたらみなさんもいつも食べているものも入っっているかもしれません。
シイラ

刺身販売禁止レベル ★★★★★
シイラは獲れたてのものを刺身にしたりすることがあります。
しかしよほど鮮度が相当よくないとあたります。実際食中毒にあたったという話はよく聞く魚です。皮目のぬめりに菌もいたりするので刺身にするのは非常に危険な魚です。
身はブリに似ていて美味しそうと言えば美味しそうに見えます。
これは若い担当者などが知らずに刺身にしたりします。
みなさんは刺身で売場に出ていても買わないでください。
こんなチャレンジャーに付き合わないことです。
お店で売っている人も刺身で食べるには相当注意が必要な魚だと認識してください。
ソーダがつお

刺身販売禁止レベル ★★★★★
ソーダがつおを食べて蕁麻疹が出たという話もよく聞きます。鮮度劣化の早くヒスチジンを多く持っている魚なので刺身にはしません。
ただ、朝どれとかで獲れたものを刺身にしているところをよく見かけます。
極力刺身で食べるのは避けたほうがいいでしょう。
スーパーでもこれを刺身にするのを禁止していること多いです。
ただ怖いもの知らずの若い担当者などは安い魚なので刺身にすれば儲かるといってわけわからず出していることがあるのでこれも買う側が気をつけないといけない魚です。
正直地方のスーパーマーケットはこの辺のルールが曖昧なところが多いのが実情です。
ソウダガツオにも種類があるようで刺身でも大丈夫なものもあるようですがどうでしょう。
詳しくは↓個別記事で。
黒ソイばちめ

刺身販売禁止レベル ★★★☆☆
黒そいばちめは刺身にしません。
北海道の人は刺身にする場合があると聞きます。
身に小さい虫が入っていることが多いので刺身にしないハチメ(メバル)です。
虫がいなければ刺身も可能といったところです。
イシモチ(グチ)

刺身販売禁止レベル ★★☆☆☆
イチモチについてはそもそも刺身にして美味しいのかということから通常店で刺身にすることはほとんどありません。
イメージとしてはかまぼこの原料です。
私も今まで刺身にしようと考えたことはありません。
わざわざこのお魚を刺身で食べなくても他においしいお刺身いっぱいあると思います。
赤がれい

刺身販売禁止レベル ★★★★☆
港に近い浜どころの人はよく食べますね。
昔からの食習慣なのでしょう。
スーパーなどでも浜に近いところでは赤がれいの刺身を出したりしています。
一言でいうとチャレンジャーです。
かれい一般に言えることですが寄生虫がいる場合が多いです。
有害でない寄生虫の場合もありますが生理的に嫌なものです。
基本的に生食は避けたほうがいいでしょう。
実際おろすと米粒のような虫が縁側のところにいるのを見ます。
安いということもあるのでしょうがわざわざリスクを冒してまで食べなくてもよいと思います。
少なくともスーパーに並んでいるものはやめた方が良いでしょう。
赤がれいはタイミングによって非常に安く仕入れられることがあります。
お店の人はここぞとばかりに儲かると思って刺身にしますが安全かどうかは二の次になっているのではないでしょうか?
根拠は新鮮だからとか昔からやっているということしかありません。
確かに浜の漁師たちは食べるので一概にダメとはいえませんがスーパーでそんなリスクをかける必要ないと思います。
はたはた

刺身販売禁止レベル ★★★★☆
はたはたも鮮度のいいものを刺身にするという話は聞きますが結構餌を食べていて鮮度劣化が早いので刺身にしようとは思いません。
底曳の魚をわざわざ刺身にする冒険しなくてももっと安全でおいしい魚たくさんあると思います。
また、火をかけて美味しい魚は煮付けか塩焼きで食べたらいいと思います。
丁貝

刺身販売禁止レベル ★★★★☆
これは保健所が食中毒の注意喚起する貝です。
唾液線に幻覚を及ぼすような作用があると言われています。
完全に除去すれば刺身も可といったところでしょうがスーパーあたりだと分かってない人が多いので怖いです。
刺身で食べるときよく身を見たほうが良い魚
ついでに通常刺身にはするけど身をよく見たほうがいい刺身も一緒に紹介しておきます。
よく見た方がいいというのは身に無害な寄生虫がいたりする場合があるという意味です。
取り除けば食べれないことはないですが注意してみていけば買わずに済むというものです。
天然ぶり、天然小ぶり
夏場ぶりは身痩せします。
特に天然小ぶりは身も脂なくて真っ赤だったりすると寄生虫だらけです。
身の中に入り込んでいて気づかないことがよくあります。
身にあなが空いてるような部分があればそれ寄生虫の跡です。
よく見ましょう。
もう一ついうと、5月ぐらいから秋口まで買うのは避けた方がいいかもしれません。
とびうお

トビウオも寄生虫の多い魚です。
知らぬが仏という言葉はこのトビウオのためにあるといっても過言ではないような気がします。
フライにするればなんの問題もないですが刺身にするときは注意が必要です。
特に夏場にとれるトビウオは寄生虫だらけの時があります。
この寄生虫はアニサキスと違ってすぐに健康被害をもたらすわけではないようです。
暑くなるとほぼほぼ全個体いるんじゃないでしょうかというくらいです。
特に丸とびは7月入ったらもう刺身用ではだせません。
写真のように身や皮目にオレンジ色があったら要注意です!
一応無害といわれていますが気持ち悪いです。
基本刺身にするのは角とびだけと考えた方が無難です。
チカメキントキ(金八鯛)
金時鯛も刺身にするとき注意が必要な魚です。
皮目皮を剥いた表面ちょうど中骨のあたりに米粒くらいの寄生虫がいる時があります。
見ればわかるので取り除けば問題ないですが注意が必要です。
まとめ
このような記事を書くといつも食べているという方から刺身で全然大丈夫なのになぜダメなんだとお叱りを受けることがあります。
先にも申し上げた通り、刺身はその土地の生活の中で培われてきたものです。
その土地の食べ方を全く否定するものではありません。
しかし、その人達にとっては大丈夫なものでも一般的には避けたほうがいいということもあります。
それを前提としながらもみなさんに注意喚起したくて紹介しました。
皆さんの自己防衛のお役に立てれば幸いです。
<終わり>
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