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身焼け・ノリ・しらた【魚身質の異変】魚を捌いておかしいと思った時の対応方法

今回魚を捌いていたら魚の身があきらかにおかしい事例を経験したので紹介します。

リッキー魚のプロとして毎日のように魚をさばいています。しかもいろんな種類の数多くの魚を扱います。

調理をしているとアレっと魚の異変に気づくこともたびたびあります。

フニャフニャだったり、逆に異常に硬かったり、突起物があったりそんな稀なことではありません。

今回は天然真鯛中サイズをもった時、「なんかうすい!」と思いました。

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調理をしてたら身が異常に薄いという鯛に遭遇

わかります? 下の鯛が正常です。

大きさはともかく上の鯛の体丸みというか厚みがないですよね。

頭を取った断面がこんな感じ。

左の方が薄いでしょう!

しかも身が白っぽくないですか?

で、実際おろしてみると、

確かに白いです。プリプリ感もなくダラっとした感じ。

身が薄いから下ろし難かったですがやはり味の質が悪そうです。

普通の身はこんな感じで透明感ありますね。

両方比べて置いてみますね。↓   ↓   ↓

こうやってみると明らかに身の質が違って見えます。

この鯛だけ決して古いとか鮮度悪いというわけではありません。他のと同じタイミングで獲られたものですから。

天然真鯛でも中サイズの中鯛にこういう身の魚がよくあります。

大体1ケースに1尾くらいは混じっているような気がします。薄く痩せていなくても身質が悪いものが混じったりしていることが経験上あります。

今回のはもともと何らかの原因で餌が食べられず痩せていて身質に変化が出たものと思われます。

身焼け、ノリ、しらた

身質がおかしくなる状態のものを実務では「身が焼けた」というような表現をします。ときに「のり」ということもあります。イメージでいうと焼けがもっと進んだ状態かな。特に使い分けしているわけではありません。

地域によっては「しらた(白太)」というところもあると聞いたことがあります。

鮮度が悪くはないはずなのにこうやてって身質が悪くなることがよくあるのです。

実務上はこの焼けの程度がひどいものは廃棄します。

ただ微妙なものもあるのでその判断は難しいところです。

素人の魚屋さんがいるところはこういったものを刺身に回して結果美味しくないと思われたりします。

焼け、のり、したらはどんな魚に多いのでしょうか?

これはあくまで実務的な話として聞いてください。

経験上多いのはこの天然真鯛、車鯛(マトウ鯛)、馬面カワハギ、天然すずきなどです。

まあ、扱う機会が多いのと比例しますから一概には言えませんが仕入れる時にこのようなものをつかまないように確認はするのですが、中に1尾2尾混じる時があるのです。

種類を問わず小さい個体に多いのかもしれません。大きい魚はその前に死んでしまっているわけなので少ないとも言えます。

先にも言いましたが中鯛をあまり刺身にしないのはそういった身が使えない割合が多いということもあります。

対面などでせっかく下ろした魚が焼けていたりすると一からやり直しになって大変です。

天然スズキもこのようにおろしてみるとこのように焼けていたということがよくあります。

下が身が焼けてます。

フクラギでもたまにあります。

明らかに上の二枚(1尾分)が焼けているのがわかりますね。

他に、

車鯛であるのはこんな感じ

身がゼリー状になっていることがよくあります。

ちょっと気持ち悪いですね。

ただ、これは寄生虫の影響かもしれません。正直その辺はちょっとわからないです。

いずれにせよ数多く魚を扱っているといろんな身に出会います。いいも悪いも避けて通れないのです。そしてそれが過食可能かを的確に判断をしないといけません。お店の人はいろんな身の状態を知っておくべきです。

身質がおかしくなる原因はなに?

身質がおかしくなる原因は色々あると思います。

実務上考えられるものだけでもこれだけあります。

  • まず先述したサイズ小さい場合。身がおかしくなっても生き残っている場合。大きくなればなるほどそういうものは淘汰されます。
  • 季節外れのものも身がおかしくなるときが多いです。
  • 抱卵時、産卵後の身も怪しいと思っています。これに関連してオスとメスどちらが美味しいのと言われると必ずオスと答えます。卵に栄養がいくからですね。
  • 最後によくあるのは魚の水揚げ時に暴れて体の体温が上がり後々身の変質を招くという場合。まぐろなどでもこういうことがあって大損害を受けたという話はよく聞きます。魚を釣ったあと「シメる」のも魚の無駄な動きを封じるという意味合いもあります。
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寄生虫の場合とは違う

身質がおかしくなる場合に上記のように寄生虫の場合もあり得ますが寄生虫の場合は全体でなく一部の変質の場合が多いような気がします。今回のテーマ対象から外れるので割愛します。

このような身焼けした魚に遭遇した時の対応

身焼けした魚に当たったからといってすぐに廃棄と言うのではとても残念です。

せっかく釣ったものを、せっかく買ったものを廃棄するのはしのびないですね。

実は身焼けした魚でも刺身で食べられるのです。

ただ身焼けした魚といっても程度がその個体によって違うわけです。

程度の軽いものならそのまま刺身にしても構いません。

程度を見て判断していきましょう。

中に昆布締めにしたらおいしくなるんじゃないか?と考える人がいると思います。

昆布が水分を吸って身をしっかりしてくれないかとも思うわけです。

リッキーもしたことありますが残念ながらあまりよろしくない結果でした。

刺身になる程度のものはそのまますぐに食べた方がいいようです。

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まとめ

身焼けのイメージ湧きましたでしょうか?

このように今回身がおかしい場合の事例をいくつか挙げました。

この記事をみることでこういった身質の悪い魚が売場や食卓に出ないように避けてもらえればありがたいです。

自分で選べないという場合もあるかと思います。

その時でもこんな状態になることがあるとわかっているだけで買ったところに交換や返金をお願いしやすくなりますね。

お店の人も気付いてない、知らないということもよくあります。そんなもんだと思ってやってください。このレベルはなかなか経験がないとわからないところだからです。もちろん返金は依頼して大丈夫です。お金は返してもらえるはずです。

自分が捌いた時にこのような身にあたったら程度にもよりますがあきらめて処分してください。どちらにしても美味しくないです。

今回のように身の質が悪いというのは鮮度がいい悪いと違って難しい判断を要するところです。

<終わり>

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リッキー
鮮魚アドバイザー・刺身インストラクター・現役水産バイヤー 30年間培った鮮魚の販売、加工、管理技術を初心者に向けてわかりやすく解説。 なかなか教えてくれない秘技裏技も惜しげもなく公開。 一般向けにはみんなが笑顔になるお刺身の作り方ご案内。 すべてが魚食好きの人のために!日夜リアル、WEBで奮闘しています。 有限会社西村研究室(水産コンサルタント事務所)所属