
カニを買うときに黒いタールのようなものがついているものを見たことがありませんか?
今回はカニについている黒いものの正体を明らかにしてみたいとおもいます。
毎日カニを仕入れているとよく写真のような黒くなったカニを見る時がありまます。
先日記事にしたカニビルの黒いつぶつぶとは様子が違うようです。
まるで黒いペンキのような、タールのようなものがカニの甲羅や脚にこびりついているのです。
なんだろう?考えられるもの
パッと見たところは船のタールでもついたものかと思いました。
こびりついていますから。
炭のようにも見えます。
市場の人の話ではカニの精子だという説も出てきたりしました。
カニの精子???
いろんな見方ができるものですね。
よく見ると

よく見るとつぶつぶ状のものがこびりついています。
なんか気持ち悪いですね。
こんなカニが混じったりするのでその箱は大体売れ残っているようです。
ネットで調べてみた

ネットで調べてみたらカビのようなものという情報がありました。
なるほどカビかという感じですがカビならすぐ剥がれてしまうのでは?と思ったりします。
色も真っ黒だし本当にカビ?と疑問は残ったままです。
正確な根拠がついてなかったのでもっとちゃんとした原因を書いたものがないか調べました。
いろいろ調べてみるとあるもんですね。
ちゃんとした学術論文がありました。
カニの黒いタールのようなものの正体が明らかに!
結論からいうと黒色物は真菌類の一種、子嚢菌類に起 因するものということでした。
子嚢菌類というのはわかりやすくいうといわゆる酵母、カビ、きのこのことのようです。
酵母はパン酵母がイメージしやすいですね。きのこはトリュフをイメージして良いようです。
で、カニについている黒いタールのようなものはそれらの仲間の菌が原因ということでした。
しっかり兵庫県立農林水産技術総合センターというところで研究されていました。
黒色ガニの甲殻を覆った黒色物は,ピンセットなどで容易に剥離することができた。甲殻等を黒色物がマット状に覆った 部分では,隔壁を有する菌糸(Fig.5)が濃密に存在し, 菌糸を基盤とした中に開孔型の子嚢殻様物質(平均φ 0.53 ± 0.11mm)が密生しているのが確認できた。こ れらはHibbits et al.(1981)が報告した症状に酷似し ており,子嚢菌に起因するものと推測された。
兵庫県立農林水産技術総合センター研究報告〔水産編〕第 39 号(2006) 6
やっぱり研究されていたんですね。
松葉ガニで有名な兵庫県ですから水産資源に対する研究がちゃんとされているのだと思います。
ついでに黒い菌がつく点についていろんなことがわかったので整理しておきます。
- 黒いものがつくのはメスのカニに多い
- 交尾などで傷ついた付近に多い
- 新たな漁場の方に多い
- いわゆるヤケのカニとは違う
以上のことがわかりました。

黒いものがカビのような菌だということがわかっただけでもよかったです。
食べて大丈夫?
この質問はちょっと微妙な質問ですね。
実際わざわざこの黒い菌を食べる人はいないですから。
ただ、身を食べるときに一緒に口に入ってしまうこともあると思います。
はっきり書かれた文献はなかったですがおそらく茹でて加熱もされているので少しくらい口に入っても問題ないと思われます。
まあ、確かに気持ち悪いですね。
そもそもそういうカニをそもそも選ばない方がいいのかもしれません。
まとめ
カニを仕入れるというのはいわゆる博打のようなものと言われることがあります。
それはカニ高額で取引されるものでカニの身があるなしを含め非常に当たり外れのあるものであるからです。
一瞬の目利きが大事になります。
その時に今回のような知識があると役に立ちます。
一般のお客さんも店頭でカニを買うとき一緒でですね。
カニについてはいろんな情報をこのブログに載せていきますので他の記事も参考にしてみてください。
<終わり>
ベタっとついた黒いタールみたいなものです。ちなみに黒いつぶつぶはカニビルの卵です!