
みなさんがカニを買うときにカニの甲羅についている黒い粒々がついているのご存知でしたか?
中にはついているのもあればついてないものもあったりしていると思います。
見た目ちょっと気持ち悪いですよね。
あの黒いつぶつぶはなんなんでしょうか。
目次
黒い粒々の正体はカニビルの卵
できるだけ黒い粒々を避けて買っているのではないでしょうか?
結論からいうとあの黒いつぶつぶの正体はカニビルの卵(無害)でした。
カニビルって沼とかで人の血を吸いにくるヒル?ってビックリするかも知れませんがカニビルは人の血を吸ったりしませんのでご安心ください。
たまに売場で女性の「ギャー!」という悲鳴が聞こえますがそれもこのカニビルの仕業です。
カニビルが大きくなったものがミミズのような格好してカニの甲羅についているのです。
ヒルのついたカニなんて買えないわよ!贈り物にならないいんじゃないの?と思われるかも知れません。
しかも黒い粒々って見た目にも大丈夫?って感じですよね。
実際のところついていて問題はないのでしょうか?
黒い粒々はついてていい
実はこの黒いつぶつぶついていた方がいいんです。
かにを送るときでも外したりしません。
実際リッキーは20年間何十万匹ものカニを自分で茹でて販売してきています。
その間いろんなトラブルを経験し、解決してきました。
生のカニを茹でて発送することにかけてはネット通販業者以上の経験値があると自負しています。
今回もこの黒い粒々がついていた方がいい理由をわかりやすくみなさんが納得できるように解説したいと思います。
黒い粒々なぜつくの?

これを考えるときカニの脱皮と深い関係があります。
脱皮している間は粒々がついても脱皮すれば一緒に剥がれていくからです。
まずカニの脱皮についてみていきましょう。
カニの脱皮について
甲殻類のカニは何度か脱皮しながら大きくなっていきます。
脱皮するということはまだ成熟前の若い個体を言うことです。
若い個体ということは身の入りも完全ではないということです。
そして脱皮する間は次々に剥がれていくので甲羅の付着物も一緒に外れていくので結果甲羅はキレイなままということです。
キレイな甲羅=若い個体ということになるわけです。
カニはいつ脱皮するの?
カニは毎年9月〜10月ごろに脱皮をすることが多いようです。
ということは11〜12月は脱皮したての水がにばかりになりそうです。
ただその中に個体で最終脱皮を終えたものがいますので身のしっかり入った成体もあるわけです。
ズワイガニは脱皮しながら成長します。古い殻から大きく膨らみながら抜け出る訳ですから、脱皮後しばらくは、殻が薄く筋肉中の水分が多い状態が続きます。9-10月に脱皮した後の約半年間がその時期にあたり、1-3月にミズガニとして水揚げされます。
但馬水産技術センターHPより
カニの脱皮の回数は?
個体によって違いますが一般に10回から13回ほど脱皮するすそうです。
メスは10回ほど、オスは13回くらいのようです。
参考サイト 京都府農林水産部海洋センターHP
カニの最後の脱皮は?
最後の脱皮をしたらそれ以降甲羅には付着物がついてきます。
最後の脱皮した=成熟した個体なので身の入りも良くなるということです。
結果甲羅の付着物の黒い粒々はもう脱皮しない成熟した個体につくということになります。
成熟という場合ハサミの大きさも成熟の判断基準になるということです。
オスガニを良く見ると、甲羅の大きさが同じでも、大きなハサミを持つものと小さいハサミを持つものとがいます。
実は、このことがオスガニの脱皮と密接に関係しています。すなわち、ハサミの小さいオスガニは、その後も脱皮を行います。それに対して、ハサミの大きいオスガニは、それ以降は脱皮を行わないことが分かりました。ハサミが大きくなり、脱皮を行わなくなったオスガニが、いわゆる「親ガニ」となります。
京都府農林水産部海洋センターHPより
黒い粒々はカニの成熟度の判断基準になるか?
そこである程度黒い粒々がついたかには成熟した個体のことが多く、身入りもよくおいしいカニという判断材料になるといえるでしょう。
※黒いつぶつぶがついているからといって必ず成熟しているという意味ではありません。蓋然性が高いという程度です。
最終脱皮後にミズガニで迎えた漁期を乗り切り、殻の厚さと身入りを増して翌年漁期まで生き延びたカニが、初めて松葉ガニと称されるのです。その後ますます殻を硬く身を充実させつつ4、5年以上生きられますが、現状ではほとんどがそれ以前に漁獲されてしまうようです。
但馬水産技術センターHPより
たくさん黒い粒々がついているということは最終脱皮から時間がたったということを示しているといえます。
成熟したカニと判断できるわけです。※ここはあくまで断定ではなく蓋然性高いという意味です。
また成熟しているからといって身が詰まっているとは限りません。
最終的には重さで判断するのがいいでしょう。
黒い粒々=カニビルって人に害はないの?

黒いつぶつぶはカニビルの卵です。
まず黒いつぶつぶ自体は殻みたいなものなので害はないです。
カニビル成体はズワイガニの体に入ったりないのか心配ですね?
Wikipediaによればカニビルは甲羅にすみかを作っているだけのようです。
ただ足に食らい付いているようなカニビルも見ますがどうなんでしょうね。
カニビルはズワイガニの甲羅を産卵の場所に利用するだけで、カニビルの成体がズワイガニの体内に寄生したり、ズワイガニの体液を吸ったりはしない。
Wikipediaより
ところで、たくさんつきすぎるとカニが弱ることはあるんでしょうか?
売場ではこの黒い粒々がたくさんついたカニを見てきましたが特に弱っていそうというようなものは見たことはありません。もう少し調べてみないとよくわかりませんね。
茹でればカニビルは死にます。後は見た目だけの問題となります。
人に害を及ぼすことはないといえます。
黒い粒々ついたかにを贈り物にしても大丈夫な理由
今見てきたように成長して大きくなった個体に黒いつぶつぶがつくということがわかりました。
では、そのカニを贈り物にしていいのでしょうか?
答えは OK! です。
むしろそのまま贈り物にして欲しいです。
以前リッキーお客さんにどうしてもと言われてこの黒いつぶつぶが全部外したことがあります。
結果は悲惨なことになりました。
カニ甲羅に黒い粒々のアトが残って逆に気持ち悪くなってしまいました。
あまりいい例えではないですがイメージでいうとトビヒの後カサブタを無理やりとったアトのような感じになってしまいました。
そのお客さんは言い出した手前それはそれで納得されたのでそのまま発送しましたがリッキー反省しました。
やはり案内の仕方を工夫すべきだったと。
やはり、贈り先にも黒いつぶつぶがついていた方がおいしいカニですと言い添えてくださいとご案内する方がよかったのではないかと思いました。
高級料亭などではキレイに外したりするようですが一般的な人が利用するときはむしろそのままでも特に問題になるようなことはないと思います。
カニビルの卵をとってはいけない理由
魚屋がセールストークでカニビルの卵ついていた方がいいって言っているとする記事をみたりします。
魚屋は取るのがめんどくさいから付いていた方がいいんだといっている、ということのようです。
こういうのは実際にカニを扱っている人ではないように思います。
というのは魚屋さんがこのカニビルの卵をとらないのは別の理由があるからです。
そして毎日のようにカニを扱う人なら当然わかっていることなはずです。
カニビルの卵をとらないのはめんどくさいからでなく跡が汚くのこるからです。
商品価値が下がってしまうのです。
それに魚屋さんはカニビルの卵とるくらいであれば気にしないでどれだけでもとります。
タワシでゴシゴシこすれば取れるわけですから。
もっと魚屋さんはめんどくさいことやっているのでそのくらい苦痛に感じません。
イメージでいってるんでしょうね。
実際カニビルがついているほうが身がしっかりしているからオススメしているのです。
誤解をされる方がいるといけないので書き添えて置きます。
通販ならともかく魚屋でしたら1万2万円するカニが売れるなら喜んで黒い粒々取りますよということです。
ただもらった人が残ったアトが汚くみえてがっかりすると思うので取らないだけなのです。
まとめ

カニもお馴染みの商品ではありますが自然のものなんですね。
工場でキチンと作られるものとは違うんですよね。
黒い粒々気にしなくていいような気がします。
贈り物にするときはちょっと気になるかもしれませんが、受け取る人も黒いつぶつぶ問題ないということをわかっていることが多いようです。
黒いつぶつ大丈夫だよと言い添えておいてあげたほうが無難かもしれませんね。
早くカニ味噌食べたいです!身よりも蟹味噌って感じです。
北陸・山陰地方では禁漁期間となっていたカニ漁ももうすぐ11月6日解禁です!
もうすぐですよ!楽しみですね。
一応ズワイガニ・香箱がにの詳しい記事も書いているので紹介しておきます。
よかったらあわせてご覧くださいね!
<終わり>
かに本舗通販
http://keitai-style.net/kani-honpo/faq/kanibir.html
で書かれている事とマ逆です。
かに本舗通販では
「黒いつぶつぶが付いているカニの方が身入りがよくて美味しい。
なぜ蟹の販売業者はそのような噂を流すのでしょうか?
その理由は至ってシンプルです。カニビルの卵を取り除く手間を省くためです。」
と書かれています。
リッキーさんは
「黒いつぶつぶがついたかには成熟した個体で身入りもよくおいしいかにになるということなわけです。」
と書かれていますが
かに本舗通販では
「脱皮したてのカニにも、もちろんカニビルは卵を産み付けます。」
とあります。
カニビルでそのカニが成熟か未成熟を判断にならないのではないのですか?
だいもんさん、コメントありがとうございます。
確かにご指摘の通りカニビルの卵がつくかつかないかという問題とカニが成熟してるかどうかの問題は全くイコールではありませんね。成熟してないカニにもカニビルはつくことありますからね。その意味で記事中に誤解を招く表現があるとすればお詫びして訂正したいと思います。
ただ、通販はわかりませんが対面販売で長年カニを扱っている経験からするとカニビルの卵がたくさんついたカニは成熟していて身も詰まっていることが多いのも事実です。そういうカニを選んでいただきたいとも思っています。
身の詰まったカニ選ぶ際一番の決めてはカニの重さだと思います。あと色目でほぼほぼ判断がつきます。
その判断材料の一つとしてカニビルの卵がたくさんついているというのもあっていいのかなと個人的に思っています。
その表現方法が今回ちょっと悪かったと反省しています。
あと、「販売業者がカニビルを取る手間を省きたい」というのはないのかなあと思います。そもそもカニビルの卵はとっていけないと思っています。なぜならカニビルの卵をとると跡が汚く残って商品にならなくなるからです。
要は販売者がちゃんと身の詰まったカニを責任持ってお渡しすることが大事なんだと思います。
じゃあ身の詰まってないカニどうするのかというとそれをチャンと明示して安く売ればいいだけです。
だいもんさんの今回の鋭い問題提起のおかげでよりカニのこと、記事の表現方法をあらためて考えるいい機会になりました。
非常に感謝しております。
またご不明な点ありましたらコメントしていただけると幸いです。
長文になりましてすみません。
リッキー