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カニの甲羅の黒い粒々の正体は?【贈り物】取ってはいけない理由はコレ!

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みなさんがカニを買うときにカニの甲羅についている黒い粒々がついているのご存知でしたか?

中にはついているのもあればついてないものもあったりしていると思います。

できるだけ黒い粒々を避けて買っているのではないでしょうか?

見た目ちょっと気持ち悪いですよね。

あの黒いつぶつぶはなんなんでしょうか?

贈り物にするときなどにはとった方がいいのでしょうか?

今回カニを25年間販売してきたリッキーがこの黒い粒々の正体と扱い方について解説します。

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黒い粒々の正体はカニビルの卵

ズワイガニ
黒いツブツブのついたズワイカニ

結論からいうとあの黒いつぶつぶの正体はカニビルの卵(無害)です。

カニビルって沼とかで人の血を吸いにくるヒル?ってビックリするかも知れませんがカニビルは人の血を吸ったりしませんのでご安心ください。

たまに売場で女性の「ギャー!」という悲鳴が聞こえますがそれもこのカニビルの仕業です。

カニビルが大きくなったものがミミズのような格好してカニの甲羅についているのです。

ヒルのついたカニなんて買えないわよ!贈り物にならないんじゃないの?と思われるかも知れません。

しかも黒い粒々って見た目にも気持ち悪くて大丈夫?って感じですよね。

実際のところついていて問題はないのでしょうか?

黒い粒々はついてていい

実はこの黒いつぶつぶついていた方がいいんです。

カニを送るときでも外したりしません。

実際リッキーは20年間何十万匹ものカニを自分で茹でて販売してきています。

その間いろんなトラブルを経験し、解決してきました。

生のカニや茹でガニを発送することについてはネット通販業者以上の経験値があると自負しています。

今回もこの黒い粒々がついていた方がいい理由をわかりやすくみなさんが納得できるように解説したいと思います。

黒い粒々なぜつくの?

ズワイガニ

そもそもこの粒々はなんでつくのでしょうか?

カニは水温の低いところにいるため動かずにじっとしていることが多い生き物です。

動きが遅いためいろんな海中生物の影響を受けやすいといえます。

確かに甲羅を見るとフジツボや海藻がついたりしているのをよくみます。

それだけ他の海中生物がくっつきやすい性質があるわけです。

カニビルがカニにくっつくのもなんら不思議ではないということになります。

カニの脱皮との関係

またこれを考えるときカニの脱皮と深い関係があります。

例えカニビルの卵が付いたとしても脱皮している間は一緒に剥がれて残ることはないはずです。

でもカニビルの卵がついているのはなぜでしょう?

まずカニの脱皮についてみていきましょう。

カニの脱皮について

甲殻類のカニは何度か脱皮しながら大きくなっていきます。

脱皮するということはまだ成熟前の若い個体ということです。

若い個体ということは体もしっかり出来上がっていないといえます。

つまり身の入りも完全ではないということです。

そして脱皮する間は次々に剥がれていくので甲羅の付着物も一緒に外れていくので結果甲羅はカニビルの卵も付かずキレイなままということです。

ということで若い個体には黒いつぶつぶはあまり付かないということになるわけです。

で、若い個体はまだ体がしっかり出来上がってないということでしたね。

カニはいつ脱皮するの?

ではカニはいつ脱皮するのでしょうか?

大体カニは毎年9月〜10月ごろに脱皮をすることが多いと言われています。

ということはカニ解禁時期の11〜12月は脱皮したてのいわゆる水ガニばかりになりそうですがタイムラグがあって実際は1〜3月あたりになるようです。

ただもちろん最終脱皮を終えた個体もたくさんいるので全部が全部脱皮したての若いカニだけということはありません。

身のしっかり入った大人のカニもいるわけです。

ズワイガニは脱皮しながら成長します。古い殻から大きく膨らみながら抜け出る訳ですから、脱皮後しばらくは、殻が薄く筋肉中の水分が多い状態が続きます。9-10月に脱皮した後の約半年間がその時期にあたり、1-3月にミズガニとして水揚げされます。

但馬水産技術センターHPより

カニの脱皮の回数は?

ちなみにカニは何回くらい脱皮するのでしょう?

一般的にカニの脱皮は10回から13回ほどすると言われています。

メスは10回ほど、オスは13回くらいのようです。

意外と脱皮するもんですね。

参考サイト:京都府農林水産部海洋センターHP

カニが最後の脱皮をするとどうなる?

で、最後の脱皮をするとカニはどうなるのでしょう?

最後の脱皮をしたらそれ以降皮を脱ぐということは当然なくなります。

そうすると甲羅には付着物がついてきます。

つまり甲羅に付着物がたくさんつくようになったということは大人のカニになったということでもあります。

※若いカニには付着物が全くつかないということではありません。

最後の脱皮した → 成熟した個体 → 付着物がつく

このような三段論法になるわけです。

結果甲羅の付着物の黒い粒々はもう脱皮しない成熟した個体につきやすいということになります。

余談ですが、

成熟したかどうかはハサミの大きさで判断するようです。

オスガニを良く見ると、甲羅の大きさが同じでも、大きなハサミを持つものと小さいハサミを持つものとがいます。

 実は、このことがオスガニの脱皮と密接に関係しています。すなわち、ハサミの小さいオスガニは、その後も脱皮を行います。それに対して、ハサミの大きいオスガニは、それ以降は脱皮を行わないことが分かりました。ハサミが大きくなり、脱皮を行わなくなったオスガニが、いわゆる「親ガニ」となります。

京都府農林水産部海洋センターHPより

黒い粒々がつくカニは成熟したカニのことが多い

そこである程度黒い粒々がついたかには成熟した個体のことが多く、身入りもよくおいしいカニということが伺えます。

※黒いつぶつぶがついているからといって必ず成熟しているという意味ではありません。また成熟してるからといって必ず身が詰まっているカニと断定できるわけでもありません。それぞれ蓋然性が高いという意味です。

最終的には身が詰まっているかどうかは重さで判断するのがいいでしょう。

最終脱皮後にミズガニで迎えた漁期を乗り切り、殻の厚さと身入りを増して翌年漁期まで生き延びたカニが、初めて松葉ガニと称されるのです。その後ますます殻を硬く身を充実させつつ4、5年以上生きられますが、現状ではほとんどがそれ以前に漁獲されてしまうようです。

但馬水産技術センターHPより

黒い粒々がたくさんついているということは最終脱皮からそれなりの時間がたっているということです。

大人のカニで身が詰まっている可能性が高いわけです。

黒い粒々=カニビルって人に害はないの?

カニビル

黒いつぶつぶはカニビルの卵です。

実際に成虫は上の写真のような姿をしています。

気持ち悪いですね。

ただ人の血を吸ったりとか害はありません。

まさかこのカニビルを口にすることはないと思いますのでその点での害もないと言っていいでしょう。

卵の黒いつぶつぶ自体も殻みたいなものなので害はありません。

カニビルがズワイガニの体に入ったりしないのか?

カニビルは甲羅にすみかを作っているだけのようです。

体液を吸うこともないようです。

ただ足に食らい付いているようなカニビルも見ますがどうなんでしょうね。

カニビルはズワイガニの甲羅を産卵の場所に利用するだけで、カニビルの成体がズワイガニの体内に寄生したり、ズワイガニの体液を吸ったりはしない。

Wikipediaより

ちょっと一安心ですね。

黒い粒々多く付きすぎるとカニは弱る?

ところで、黒い粒々がたくさんつきすぎるとカニが弱ることはあるんでしょうか?

売場でこの黒い粒々がたくさんついた活カニも見てきましたが特にそれが原因で弱っているのは見たことがないです。

ここはもう少し調べてみないとよくわかりませんがおそらく関係ないと思います。

黒い粒々は人やカニに害を与えるものでない

結果としてカニビルは人に害を及ぼすことはないですし、カニに悪影響を与えるものでもないということがわかりました。

後は見た目だけの問題ということです。

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黒い粒々ついたかにを贈り物にしても大丈夫な理由

今見てきたように成長して大きくなった個体に黒いつぶつぶがつくということがわかりました。

では、そのカニを贈り物にしていいのでしょうか?

答えは そのままでOK! です。

むしろそのまま贈り物にして欲しいです。

以前リッキーお客さんにどうしてもと言われてこの黒いつぶつぶが全部外したことがあります。

結果はアトだらけで悲惨なことになりました。

カニ甲羅に黒い粒々のアトが残って逆に気持ち悪くなってしまいました。

あまりいい例えではないですがイメージでいうとトビヒの後カサブタを無理やりとったアトのような感じになってしまいました。

そのお客さんは言い出した手前それはそれで納得されたのでそのまま発送しましたがリッキー少し反省しました。

やはり案内の仕方を工夫すべきだったと。

「黒いつぶつぶがついていた方がおいしいカニですと言い添えてください」とご案内する方がよかったのではないかと思いました。

高級料亭などではキレイに外したりするようですが一般的な人が利用するときはむしろそのままでも特に問題になるようなことはないと思います。

見た目が汚らしくなっては残念なので無理してとらないのでいいと思います。

カニビルの卵を取らないのは決してセールストークでない

とある記事で、魚屋がカニビルの卵を取らないのは面倒くさいからといったような話が載っていました。

「魚屋がセールストークでカニビルの卵ついていた方がいいって言っているだけ」

とのこと。

「魚屋は取るのがめんどくさいから付いていた方がいいと言っている」

ということのようです。

これには違和感を覚えました。

実際にカニを扱っている人ならそんなふうに思わないと思います。

カニビルの卵をとるのくらい魚屋にとってはお茶の子サイサイだからです。

カニビルの卵をとらないのはめんどくさいからでなく跡が汚くのこるからです。

毎日のようにカニを扱う人なら当然わかっていることなはずです。

逆にとってしまうと商品価値が下がってしまう思うからなのです。

それに魚屋さんはカニビルの卵とるくらいであれば気にしないでどれだけでもとります。

タワシを引っ掛ける金の部分を押し付けてゴシゴシこすれば取れるわけですから。

魚屋さんはもっとめんどくさいことやっているのでそのくらい苦痛に感じないはずです。

なのでセールストークでとらないことはないのです。

イメージでいってるんでしょうね。

実際カニビルがついているほうが身がしっかりしていると思うからオススメしているのです。

誤解をされる方がいるといけないので書き添えて置きます。

魚屋でしたら1万2万円するカニが売れるなら喜んで黒い粒々取りますよということです。

ただ残ったアトが汚くみえてもらった人ががっかりすると思うので取らないだけなのです。

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まとめ

ズワイガニ(ゆで)
黒い粒々のついた立派なズワイガニ

カニも自然で獲れるものなんですね。

天然資源です。

工場で画一的に作られるものとは違うんですよ。

であるなら自然に付いた黒い粒々はそこまで気にしなくていいような気がします。

確かに気の張る贈り物にするときはちょっと気になるかもしれませんが、年配の方に送るなら特に問題ないように思います。

黒い粒々自然のものだから大丈夫だよと言い添えておいてあげたほうが無難かもしれませんね。

それより早くカニ味噌食べたい!という感じです。

殻のことより身と蟹味噌の方が大事って感じです。

カニ漁ももうすぐですよ!楽しみですね。

一応ズワイガニ・コウバコガニの詳しい記事も書いているので紹介しておきます。

よかったらあわせてご覧くださいね!

<終わり>

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2件のコメント

かに本舗通販
http://keitai-style.net/kani-honpo/faq/kanibir.html
で書かれている事とマ逆です。
かに本舗通販では
「黒いつぶつぶが付いているカニの方が身入りがよくて美味しい。
なぜ蟹の販売業者はそのような噂を流すのでしょうか?
その理由は至ってシンプルです。カニビルの卵を取り除く手間を省くためです。」
と書かれています。
リッキーさんは
「黒いつぶつぶがついたかには成熟した個体で身入りもよくおいしいかにになるということなわけです。」
と書かれていますが
かに本舗通販では
「脱皮したてのカニにも、もちろんカニビルは卵を産み付けます。」
とあります。
カニビルでそのカニが成熟か未成熟を判断にならないのではないのですか?

だいもんさん、コメントありがとうございます。

確かにご指摘の通りカニビルの卵がつくかつかないかという問題とカニが成熟してるかどうかの問題は全くイコールではありませんね。成熟してないカニにもカニビルはつくことありますからね。その意味で記事中に誤解を招く表現があるとすればお詫びして訂正したいと思います。

ただ、通販はわかりませんが対面販売で長年カニを扱っている経験からするとカニビルの卵がたくさんついたカニは成熟していて身も詰まっていることが多いのも事実です。そういうカニを選んでいただきたいとも思っています。

身の詰まったカニ選ぶ際一番の決めてはカニの重さだと思います。あと色目でほぼほぼ判断がつきます。
その判断材料の一つとしてカニビルの卵がたくさんついているというのもあっていいのかなと個人的に思っています。
その表現方法が今回ちょっと悪かったと反省しています。

あと、「販売業者がカニビルを取る手間を省きたい」というのはないのかなあと思います。そもそもカニビルの卵はとっていけないと思っています。なぜならカニビルの卵をとると跡が汚く残って商品にならなくなるからです。

要は販売者がちゃんと身の詰まったカニを責任持ってお渡しすることが大事なんだと思います。
じゃあ身の詰まってないカニどうするのかというとそれをチャンと明示して安く売ればいいだけです。

だいもんさんの今回の鋭い問題提起のおかげでよりカニのこと、記事の表現方法をあらためて考えるいい機会になりました。
非常に感謝しております。
またご不明な点ありましたらコメントしていただけると幸いです。

長文になりましてすみません。

リッキー

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リッキー
鮮魚アドバイザー・刺身インストラクター・現役水産バイヤー 30年間培った鮮魚の販売、加工、管理技術を初心者に向けてわかりやすく解説。 なかなか教えてくれない秘技裏技も惜しげもなく公開。 一般向けにはみんなが笑顔になるお刺身の作り方ご案内。 すべてが魚食好きの人のために!日夜リアル、WEBで奮闘しています。 有限会社西村研究室(水産コンサルタント事務所)所属