みなさん、気付いていますか?
最近スーパーの刺身コーナーで生さんまの刺身が消えちゃっていることを。
例えあったとしても今置いてあるさんまの刺身はほぼ解凍という表示がされているはずです。
色悪いですよね。ちょっと残念な感じです。
ほんの数年前までは秋になると当たり前のように生さんまの刺身売っていましたね。
すごくおいしかったと記憶しています。
それが最近のスーパーマーケットの刺身コーナーでは解凍品しか売ってないということです。
あのメタリックな銀色と身の赤い色と白い脂の層がとても恋しくなりますね。
あと、いわしの刺身の姿も見なくなりました。
なぜこんなことになってしまったんでしょうか?
アニサキス被害 が食中毒事件扱いに!
結論から言うとアニサキス被害が食中毒扱いになったことがその大きな要因なのです。
ちょっとわかりにくいですね。
ここは詳しく説明します。
実は生さんまの刺身にはアニサキスが寄生していることもあってアニサキス被害にあったりする人が多かったのです。ちなみにいわし、あじにもアニサキスはいます。同じです。
昔からアニサキス被害が多かったのですが当時は手術をしないと原因がわからなかったのです。
手術となるとなかなか大事なので躊躇することもあったようです。
それで腹痛があってもそれが何が原因なのかはっきりわかりにくい状況だったようです。
それが医療機器の進化によって発見する手段が増えまた的確に発見されるようになるとアニサキスが原因で腹痛をおこしているというようなことすぐわかるようになってきました。
そしてそのアニサキス被害が結構多いものだということも徐々にわかってきたのです
輸送技術の進歩によって全国各地に鮮度のいい魚が運ばれるようになってアニサキス被害を受ける可能性も広がったということも背景にあるようです。
そのためアニサキス被害の状況を把握しなければならないということになりました。
で、どうしたかというとアニサキス被害にあった場合を食品衛生法にある食中毒として取り扱うことで、保健所への報告義務を医者に課したのです。(2012年食品衛生法施行規則一部改正)
2013年以降はアニサキス発生件数・内容を把握できるようになりました。
このことは言い方をかえると2012年を境にしてそれ以前とそれ以後のアニサキス発生数を比べると何倍にも膨れ上がるように見えるということです。
例えば把握できてない2006年のアニサキス 発生数と把握できている2016年を比較するとン十倍というようなことになるのです。
これはマスコミがわざとに大げさに言うための数字のマジックなので差し引いてみてください。
※一応営業停止措置は罰則ではなく健康被害の拡大防止と再発防止が目的となっているといわれています。
生魚の刺身とアニサキスの関係
生魚とアニサキスの関係については過去に記事にしているのでこちらをご覧ください。
>>いか刺しの美味しさと恐怖 〜アニサキス被害を防ごう!画像付き ←詳しい
上の記事が結構詳しく書いています。
スーパーの選択
アニサキス被害が出ると食中毒扱いになって営業停止になることになってスーパーには激震が走りました。そしてほとんどの店がビビってしまいました。
きれいな言葉でいうと、
お客さんの健康を第一に考えないといけないので生さんま(生青魚)の刺身は控えます。
と、いうことです。
万が一営業停止になった場合の店のインパクトは非常に大きいです。
当日の売上がなくなることと同時にのちのちまで店のイメージに悪くなるという強力なダメージを受けかねないということです。
このような告知をする羽目になったらダメージも大きいです。
>>アニサキスを原因とする食中毒事故発生に関するお詫びとお知らせ 〜アルビス株式会社
実際に最近ではその規則も厳格に運用されて営業停止になるところもポツポツと出はじめて、それがニュース新聞で取り上げられるようになりました。
>>イワシの刺し身でアニサキス食中毒 群馬・みなかみのスーパー
>>【富山】アジ刺身食べてアニサキス食中毒に 50代の男性 マックスバリュ黒部コラーレ前店、23,24日に購入 1日営業停止★2
さらにスーパーはビビリ度を増していったわけです。
このようなことから最近では少なくとも生さんまの刺身はスーパーの刺身コーナーで見かけなくなったのです。
もちろん生さんまの刺身だけでなくいわしの刺身なども同時に見なくなっていったわけです。
今解凍でなく生で売っているとしたら情報砂漠の状態の店か相当チャレンジャーな店だということになります。
日本の魚生食文化はどうなる?
とはいっても、日本人は昔から刺身を食べてきました。
いろんな知恵を使って魚の生食文化を作り上げ問題点を克服してきました。
おそらく個人で楽しむ分には問題ないと思います。
しっかり知識を身につけて的確に判断することがとても大事です。
基本をしっかりやればアニサキス被害にも遭いにくくなるということです。
そんなことで先に紹介したアニサキス対策をのせた記事2つとこの記事をしっかり読んでいただきたいと思います。
最後に
この問題は店の立場からするとどうにもならない部分があります。
確かに被害に遭われたときの大変さは想像を絶するものと聞きます。
のたうち回るほどの痛さ辛さだということです。
まずは安全第一に考えるべきというのはその通りです。
とはいえ、たくさんの魚を扱う現場でできることも限界が…。
特に新鮮な魚がたくさん水揚げされるような産地などでは切っても切り離せないものといえます。
防ぐ努力をしていても被害が出てしまうこの現状はなんともし難いものです。
万が一の時は今まで積み上げてきたものがガタガタと音を立ててくずれていきます。
そうすると選択肢としてはそもそも出さないということになりかねません。
しかしそれはそのスーパーマーケットを利用している人にとっても悲劇でいいことないのはないでしょうか?
魚が新鮮でよく売れるお店が元気がなくなるのはみんな望んでないわけですから。
もし魚屋さんをそのまま残したいのであれば、お互い信頼関係があるという前提ですがほどほどに容赦してあげた方がお互いにとっていいような気もします。
お医者さんへの訴え方で扱いが随分変わるようですから。
お医者さんも義務とはいえ残念な思いで保健所に報告ということになるんでしょうね。
いずれにしても昔のようにさんまやいわしの解凍でない新鮮な生の刺身が普通に食べれるようになることはもうないのでしょうか?
<終わり>
ここにアニサキス症=食中毒=保健所へ報告=営業停止という小売業にとっては恐ろしい構図が出来上がったのです。