イカは種類によって獲れる時期が決まっていて、スーパーの店頭のイカも常に移り変わっています。
ただ最近ではイカの漁獲量も減って売場に並べられることも少なくなったり入荷のリズムが変わってきたりしてイカの取り扱いも難しくなっているように思います。
今までの公式みたいなものが当てはまらなくなってきているのかも知れません。
ただそうは言っても基本的なサイクルはあるわけで、一通りの流れは押さえておかなければなりません。
イレギュラーなことばかり言っててもなかなか魚の扱いが上達しないからです。
今回は魚屋に入ったばかりの初心者を想定してスーパーで扱うイカの入荷の基本的サイクルを見ていきたいと思います。
この記事は鮮魚販売者を対象としています。ただ一般の方でも販売されているイカのことを深く理解したい人にもオススメな内容となっています。
目次
魚屋・スーパーで売られるいかは主に5種類
![](https://sakananosa.com/wp-content/uploads/2023/05/結婚IMG_2310-1.jpg)
イカの種類も多いですが一般的に流通する代表的なイカ5種類です。
スルメイカ、赤イカ、アオリイカ、コウイカ、ヤリイカ
魚屋さんの店頭に並んでいる馴染みあるイカです。
その他、ホタルイカやタルイカ、ヒイカ、マツイカ、ミミイカなど地域によって並ぶことがあります。
イカは1年の寿命のものが多い
一般に売られているイカの寿命は約1年と非常に短いものです。
例えばスルメイカは春に生まれたのが夏に向かって大きくなり秋冬に成熟します。
スルメイカ以外のイカも約1年ほどの寿命といわれています。
ただ全て解明されているわけではなくまだわからないところが多いようです。
※イカの種類によっては8以上生きるといわれる個体もいるようですがここでは一般に流通するイカ(=食用)を前提に話を進めさせていただきます。
それぞれのイカの旬
名称 | 時期 | 寿命 | 刺身の可否 | 備考 |
スルメイカ | 春から夏 | 約1年 | △ 要冷凍 | マイカ |
赤イカ | 夏 | 約1年 | ○ | 剣先イカ |
アオリイカ | 秋 | 約1年 | ○ | かなり大きくになる |
コウイカ | 晩秋から冬 | 約1年 | ○ | 紋甲イカ、カミナリイカ |
ヤリイカ | 冬から春 | 約1年 | ○ |
それぞれイカで旬が違います。
うまいこと一年を通して生のイカがつながります。
ただ2月あたりにちょうど一回きれる感じですか。
生の刺身になるイカがなくなるのでその時期は冷凍物で対応という形になります。
それぞれのイカの特徴
それではそれぞれのイカの特徴を見てみましょう。
スルメイカ
![黒々したスルメイカ](https://sakananosa.com/wp-content/uploads/2022/11/E8479BEB-2830-49EB-B469-FF9A58841776_1_105_c.jpg)
イカといえばこのスルメイカが代表的な存在です。
北海道では「マイカ」と言います。
近年水揚げ量も減って取り扱いも減って高級魚並みのお値段になっています。
加工品も多く重要な水産資源の一つになっています。
いわゆる大衆魚で市場でも大漁物としてたくさんの数が扱われます。
春から夏そして秋にかけて大きくなっていきます。
それぞれ詳しく書いた記事を置いておきます。
時間ある方はご覧ください。
>>するめいか(マイカ)【料理万能食材】唯一向かないのはコレ! 〜さかなのさ
赤イカ
![鮮度のいい赤いか](https://sakananosa.com/wp-content/uploads/2022/11/BB1057BF-A1D8-4D02-9C8C-8C8DDD49238A_1_105_c.jpg)
初夏になるとこの赤イカが入荷し始めます。
高級なイカの一つで、固くもなく柔らかくもなく歯触りが心地いいイカです。
>>赤いか(ケンサキイカ) 夏になると無性にこのイカの刺身が食べたくなります! 〜さかなのさ
アオリイカ
![鮮度のいいありいか](https://sakananosa.com/wp-content/uploads/2022/11/17EE0516-ADC8-4952-B021-6AAC8D1E213A_1_105_c.jpg)
晩夏から秋にかけてこのアオリイカが釣れはじめます。
11月ごろまで市場に並びます。
肉厚でとろっとした味わいが特徴のイカです。
釣りをする方にも人気なイカです。
>>アオリイカ【秋冬の魚介類】肉厚まったりした甘味が特徴 〜皮のむき方解説付き 〜さかなのさ
コウイカ
![](https://sakananosa.com/wp-content/uploads/2022/11/いか-103-1.jpg)
紋甲イカでお馴染みです。
胴体に骨のような硬いものが入っているのが特徴です。
刺身で食べるとまったりした味わいです。
アオリイカと同様ゲソやエンペラ(耳)を唐揚げにすると非常においしいです。
>>紋甲いか 〜肉厚でまったりとした刺身が旨い晩秋の刺身いか 硬い軟骨あり! 〜さかなのさ
ヤリイカ
![ヤリイカ](https://sakananosa.com/wp-content/uploads/2022/11/IMG_2487.jpg)
関西で人気のイカです。
槍のように細長い体型をしているのですぐにわかります。
菱形のエンペラ(耳)が大きいのが特徴です
ちょっと硬い味をしていますが上品な甘みのイカです。
>>ヤリイカ【春のイカ】刺身は少し硬めで歯触りがいい春のイカ! 〜さかなのさ
番外編 煮付け用イカ
今までは刺身になるイカを見てきましたが煮付け用として売られるイカも紹介しておきます。
ヒイカ(ジンドウイカ)
![ヒイカ](https://sakananosa.com/wp-content/uploads/2023/05/結婚IMG_0144.jpg)
小さいサイズのいかです。
愛知方面から入荷が多いイカです。
最初の頃、赤いかのような形をしていているので赤いかというのが正しいのではないかと思ったりもしました。
ただ市場では箱に「ヤリ」と表記ありました。
ヤリイカにしては体型が違いすぎるので本当に「ヤリイカ」なのか疑いました。
調べたら「ヒイカ」という別のイカだということが判明しました。
結論からいうとヒイカ(ジンドウイカ)も赤いかもヤリイカ科ということでした。
ということで「ヤリ」の表記で間違いはないということで納得することにしました。
小イカ
![マツイカ](https://sakananosa.com/wp-content/uploads/2023/05/結婚IMG_9663.jpg)
小いかという場合は小さなサイズのいかの総称です。
その種類は様々です。
上のヒイカも「小いか」でまとめられることがあり得ます。
上の写真は「マツイカ」と呼ばれている小いかです。
松の葉のような形をしていて金沢方面で取れるイカです。
市場でもイカの種類が明記されていますが地方名だったりするのでわかりにくいです。
※いまだにその辺はアバウトだったりします。
地方によって呼び方が違い、赤いかがヤリとなっていたりその逆だったりします。
正確なイカの名称はまた別だったりします。
専門的に見ていくと収拾がつかなくなてしまうのでここではサラリといきたいと思います。
ここではどうやって売るかを問題にしているのであまり気にせず小さいイカと思っておけばいいでしょう。
イカの鮮度
イカは鮮度落ちが早いです。
透き通った白色から赤や黒色に変わってまた疲れたような白い色になります。
下の赤いかはまだ生きています。
![鮮度のいい赤いか](https://sakananosa.com/wp-content/uploads/2023/06/赤いか1F39D6CE-B74C-4590-A62C-73B9C60293F4_1_105_c-1.jpg)
身が透き通っているのがわかりますか?
本当に鮮度いいのは上の赤いかです。
それが少し時間経つと次のような色になります。
![真っ赤な赤いか](https://sakananosa.com/wp-content/uploads/2023/06/赤いか9793CB01-2B4B-4F33-8282-504548934D48_1_105_c.jpg)
一般的にはこのように色が出た方が鮮度いいと思われます。
実は時間が少し経っているのです。
赤い方や黒い方が鮮度いいと思われがちですが本当に鮮度がいいのは透き通った白いものなのです。
イカ加工品
さまざまなイカで様々な商品が作られています。
代表的なものだけ紹介します。
イカ塩辛・イカ黒作り・イカこうじ漬け
晩秋のスルメイカで作ることが多いです。
肝も発達していて前日に塩漬けして使います。
黒作りで使うスミはアオリイカのものが多いようです。
最近では味がまろやかなイカこうじ漬けの方が人気のようです。
>>いか黒作りの通販オススメ【北陸海鮮珍味】地元で人気商品はコレ! 〜さかなのさ
>>いかこうじ漬け【人気急上昇】食べ飽きないおいしさ 〜さかなのさ
>>初夏に晩酌が楽しみになるアテ3選【海鮮生珍味】これで仕事の疲れを吹っ飛ばそう! 〜さかなのさ
イカそうめん
夏に人気の商品です。
ツユと生姜で食べるイカ刺しの一つです。
スルメイカでするときもあれば、アオリイカでするときもあります。
細く切るのは寄生虫対策の意味もあります。
2023年現在イカが高騰して「いかそうめん」が売場からほぼ消えています。
干しスルメ
スルメイカで作ることが多いです。
剣先イカの小さいものを開いて作るものもあります。
いずれもお正月の松前漬けには欠かせない材料です。
細く割いたものをあたりめと言って炙って食べます。
干しするめもピンキリあります。
良品は身が厚くて明るい色をしています。
いか飯
![手作りいかめし](https://sakananosa.com/wp-content/uploads/2022/11/0C8DF227-D6D1-4B9D-8B48-C734238E19C2_1_105_c.jpg)
生のスルメイカを使っていか飯が作れます。
中までどうやって染み込ませるのが商品化のポイントです。
市販品で売れ筋はコレです!
なにげによく売れています。
自分で作るのは面倒くさいという方はどうぞ。
イカ鉄砲
小さいイカの胴体にもち米を詰めたものです。
甘辛く煮付けます。
その他いろいろイカ料理
焼いたり、煮たり、ボイルしたりイカはいろんな料理に加工されています。
\ コレ旨いよ! /
挙げるとキリがないのでここまでにします。
イカと寄生虫
イカを刺身で食べるときは寄生虫の問題もあります。
特にスルメイカはアニサキス被害の報告も多いイカです。
冷凍24時間以上することで防止できます。
他のイカにも理屈の上ではアニサキスいてもおかしくないですが、実務上あまり見ることはありません。
ただ用心は必要です。
その他ホタルイカにもアニサキス以外の寄生虫がいるので生で食べるのは注意しましょう。
下記の記事で詳しく書いています。
閲覧数も多い記事なので時間のあるときにご覧ください。
\ 正しい知識があれば怖くない! /
まとめ
イカは本当に料理のレパトリー多いです。
それだけ水産資源としても重要なものといえます。
季節によって旬も変わるので鮮魚売場としても季節感を出しやすいものです。
その意味でイカを攻略できない限りは売上も上がらないと言えるでしょう。
それぞれの特徴を把握してしっかり売っていきましょう。
<終わり>
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