スーパーの刺身はなぜ削ぎ切りにするのか?【最新事情】理由は単純!

本来、刺身は平切りが基本です。

ところが最近削ぎ切りで切る刺身が大手スーパーを中心に頻繁に見られるようになりました。

例えば今まではマグロを刺身にするときは角をしっかり立てる平切りで切られていました。

しかし最近スーパーの刺身売場のマグロを見ると全部削ぎ切りで切ってあったりします。

切り落としであれば削ぎ切りでもいいのですが刺身自体は本来平切りでするものです。

これはどうしてなのでしょうか。

これは形式を捨て、実(じつ)をとるようになったからです。

ちょっと意味が分かりにくいですね。

今からそれを解説していきます。

目次
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刺身の2つの切り方

実は刺身の作り方には2種類あって平切りと削ぎ切りとなります。

基本は刺身は平切りで切ります。

平切りの方が切りやすく見栄えがするからです。

ただ、締めた直後の白身魚のように身がしっかりしている魚などについては削ぎ切りにしたりします。

そういった魚は薄い方が食感がよく、おいしく感じられるからです。

すなわち、基本は平切りをし、特別な場合に削ぎ切りにするのです。

なので、マグロにしても、ブリ、カツオにしても平切りでするのが原則なのです。

削ぎ切りが最近のトレンド?

ところが本来平切りでされるべきマグロ、ブリ、カツオなども削ぎ切りにするスーパーが増えてきました。

これはなぜなのでしょうか?

トレンド、流行りということなのでしょうか?

実は理由は別にあったのです。

スーパーの刺身スキルが低下

それはスーパーでしっかり刺身を切れる人を育てられなくなったことが原因になります。

それに対して昔は刺身をする人といえば何年も修行していろんなスキルを身につけた人がやってました。

それが最近では刺身の技術をしっかり学ぶ期間も設けないまま刺身を担当させたりしているのです。

もちろん昨今の人手不足の問題が大いに関係しています。

その結果ただ切れるというだけの人に刺身を切らせるようになったのです。

削ぎ切りは初心者向き

ぶっちゃけ削ぎ切りはそこまで技術は入りません。

確かに薄造り等はそこそこ技術が必要です。

しかし普通に削ぎ切りをするくらいならそこまで技術なくても切れるものです。

少なくとも技術の差は分かりにくいです。

そんなことで質より実(効率)を求めるスーパーでは締まりのないフニャフニャな刺身が量産されていったのです。

平切りは高度なテクニックが必要

それに対して平切りは厚みや幅を等間隔にしなければいけなかったり規則正しく並べたりキレイに見せるための一定のスキルが必要です。

見ただけで上手い下手がわかります。

その分習得に時間がかかるわけです。

しかしスーパーではそんな技術を習得させる時間的人的余裕もありません。

ということから、簡単にできる削ぎ切りがスーパーでは推奨するようになってきているのです。

ある意味妥協しているといった状況です。

全部のスーパーではありませんが形にこだわらない削ぎ切りを大手スーパーを中心に広がっていったのです。

ついにはマグロやカツオまでも削ぎ切りの刺身が売場に並ぶようになったのです。

切り落としブームの影響も

同時に切り落としブームの影響を受けているともいえるでしょう。

最近では切り落としがスーパーの刺身売場で人気となっています。

切り落としは刺身の端材だったりするので若干割安になっていたりします。

マグロが高騰しているのでなおさらそういう需要が強かったりました。

あまりにも人気ですぎて端材だけでは足りず、刺身そのものを使った商品なども出るようになりました。

それが削ぎ切りでされているのです。

原料高騰も理由の一つ

昨今の原料事情も影響していると思います。

マグロ類の値段が毎年のように上がっています。

一般的に削ぎ切りの方が一切れあたりの重量を減らせるといわれています。

要は削ぎ切りをすることで原価を抑えることができるわけです。

とはいえ、センスがない人がやるとかえって大きくなったりするものです。

ただ利益感覚が鋭い人にとっては当然考える話だと思います。

そんなことで削ぎ切りブームみたいなものができてきたわけです。

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角の立った本格的な刺身が売場で見なくなった

その結果、平切りの刺身すなわち平作りがだんだん作られなくなっていきました。

なので今鮮魚の刺身コーナーを見てもマグロのスライスはあっても角の立った刺身をあまり見なくなりました。

もちろんこだわっているお店では今でもちゃんとしたマグロの刺身を並べたりしています。

ただ年々そういった本格的な刺身は見られなくなっていきました。

形式より実をとる時代

刺身というのはしっかり流儀、決まりごとがあるものです。

特に盛合せは奇数で作るとか角を立てるとか決まり事があるものです。

ここでは細かい流儀のことまでやりませんが今は形式は二の次になっているように思います。

確かに削ぎ切りでもお腹に入れば同じなのかもしれません。

見た目のよさ気にしないのかもしれません。

世の中自体がそこまで求めなくなったということもあるんだと思います。

ただ、マグロやブリ、カツオは厚みや見た目のいい平切りで切った方がおいしく感じられることは間違いありません。

そんなふうに考えると何でもかんでも削ぎ切りにする今の風潮は好ましくないように思います。

平切りで刺身をキレイに見せる技術はしっかり身につけておきたいものです。

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最後に

削ぎ切りは大手スーパーなどで多用されているように思います。

ある意味合理的な考え方が馴染むのでしょうね。

刺身作っているところ見るとほとんどパートさんがやっているような感じです。

それはそれとして小さいお店は逆張りではないですがしっかりした刺身を作ることを心がければ大手との大きな差別化になるように思います。

刺身の技術も失われかけています。

いろんな刺身にチェンジしていきたいものです。

<終わり>

さかなのさ  〜魚美味探求
刺身盛合せを上手に作る5つのコツ【スーパー編】初心者最速上達の秘技 | さかなのさ  〜魚美味探求 みなさん、自分で納得の刺身盛合せを作れていますか? 決まった仕様で作らないといけないお店も多いと思います。 とはいえ刺身盛合せは技術レベルが結集されているところで...

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この記事を書いた人

鮮魚アドバイザー・刺身インストラクター・現役水産バイヤー
30年間培った鮮魚の販売、加工、管理技術を初心者に向けてわかりやすく解説。
なかなか教えてくれない秘技裏技も惜しげもなく公開。
一般向けにはみんなが笑顔になるお刺身の作り方ご案内。
すべてが魚食好きの人のために!日夜リアル、WEBで奮闘しています。
有限会社西村研究室(水産コンサルタント事務所)所属

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