底引き網漁解禁について鮮魚のプロが解説【初秋の一大イベント】日本海側なぜそんなに盛り上がるのか!

8月が終わり9月になるとすぐに北陸、山陰などの日本海側の至る所で「解禁」の文字が目につきます。

底引き(底曳)網漁という漁が解禁になるのです。

底引き漁が解禁になると、

魚の魚種が圧倒的に増える。
それ目当てに観光客も増える。

なのでみんな楽しみに待っているのです。

底引き漁解禁すると地方の活性化するしと経済的効果抜群に上がります。

ということで町自体が活気を取り戻したかのようになり、鮮魚店、スーパー、飲食店、ホテル、旅館、駅などいろんなところで底引き解禁アピールがなされるのです。

TVや新聞でも一斉に報道されます。

港から水揚げされた様子や水揚げ情報など前日くらいからニュースで取り上げられます。

他の土地の人にとってみればあまり関心がないというか、なんでそんなに盛り上がるんだと不思議にみられていると思います。

今回はこの底引き解禁という北陸の秋の一大イベントについて解説したいと思います。

※ここでは底引き、底引き網という漢字を使ってますが通常店では底曳、底曳網という字を使っています。ちょっとしたこだわりですね。

速報 : 2023年9月1日は強風シケのため石川福井全船休漁が決まりました。残念ですが初売りは3日月曜日からということになります。

目次
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なぜ北陸で底引き網漁解禁が人気なのでしょうか?

なぜ北陸で底引き網漁解禁がこんなに盛り上がるのでしょうか?

それはとれる魚種が豊富になるからです。

夏の間から比べると圧倒的に魚の種類が増えるのです。

しかも、色でいうと赤系の魚がグッと増えてきます。

また、赤い魚というものは売場を華やかにしてくれます。

それも赤、白、メタリックが入り混じって非常に華やかにしてくれるものです。

その意味で底引き漁でとれた魚は売場をとてもキレイしてくれると言えます。

それと大事なのが刺身になる近海の魚がグッと増える点です。

北陸や日本海でおいしい海鮮料理を食べたいと思いますね、

それが揃うのがこの底引き漁が解禁してからです。

言い方を変えると底引き漁解禁前の夏に日本海の新鮮な刺身を食べたいと思ってもあまり種類がなく残念な思いをされる可能性があるということです。

日本海、北陸に旅行を計画の際はこの底引き網漁が解禁してからにしてください。

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底引き漁解禁ってなに?

底引き網漁解禁は夏の間禁漁とされている底引き網漁が9月の初日に解禁される仕組みを言います。

資源保護のために暑い夏の間、底引き網で魚を取るのをやめよう取り決めがされているのです。

調べてみると北陸や山陰地方の沿岸部でこのような取り決めがされているようです。

逆にいうと沿岸部でなければ禁漁とされてないのです。

沖合の漁場なら底引き漁は禁止されてないのです。

※但し一定の許可は必要です。

底引き網漁はどんな漁?

底引き網漁というのは船2艘(1艘の場合もある)が大きな網を使って底の方を曳きながら魚を獲る手法です。

それにより甘エビやカレイ、ハタハタなど底に住んでいる魚がとれます

底引き網漁がなぜ禁漁とされているか?

底引き網漁は言ってみれば網で魚を一網打尽にとる漁法になります。

底の方にいる魚を根こそぎとってしまうので環境に大きな影響を与えてしまうと考えられています。

なので資源保護ということで一定の期間禁漁とされているのです。

また、夏の間は暑くてお店で魚も売りにくいということも影響していると思います。

だったら無理になくてもいいじゃないかということです。

底引き網漁の解禁日

毎年9月1日が解禁日です。

9月1日の日中登録した船が一斉に沖の漁場に出て底引き網を曳きます。

基本毎年日付は変わりませんがシケなどでタイミングがズレることがあります。

解禁日から漁をしていいということなので実際の店舗での販売は2日からになります。

夕方の港のセリに間に合うように帰ってきて、初物の底引き魚を夜セリにかけるのです。

それを次の日鮮魚店やスーパーなどで販売するという流れになります。

日本海側のほとんどの地域が9月1日を解禁日としています。

底引網漁禁漁の期間

7月1日から8月31日までが底引き網漁の禁漁期間です。

ただ実際は6月の下旬になると魚の水揚げも少なかったりして早めになくなること多いです。

また禁漁期間が伸びるということはないですがシケで解禁日が事実上ズレることはよくあります。

休市を挟んで9月4日、5日になることもよくあります。

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底引き網漁でとれる魚

甘エビガスエビカレイ各種ハタハタメギス水魚ハチメ(メバル)のど黒、ハタ類、コッペ(エイ)ホウボウ、カナガシラ、などなど

なんと言っても一番人気は甘エビになると思います。

次にカレイが人気で常時5種類くらいの生のカレイが売場に並ぶのです。

いずれにせよ、売場に並ぶ魚種がたくさん増えて選択肢が広がるのもメリットの一つです。

ただ近年は底引き網漁解禁の販売初日にシケやなんかで不漁が続きました。

なので大手スーパーマーケットなどは近年の不漁状況から底曳解禁のチラシ紙面を縮小したりしています。

しかし地方の地元のスーパーとしては地元のお客さんも多いのでこの底曳解禁は絶対外せないイベントになっています。

それだけ地元の人たちも期待している訳です。

なので底引き網漁解禁というと地元のスーパーを中心に盛り上がったりするのです。

お客さんからすれば、刺身になる魚も増えるわけなので非常に期待が大きいです。

底引き網漁で獲れる人気ランキングトップ5 金沢編

金沢の底引き網漁解禁で人気の魚を紹介しますね。

とりあえず外すことができない人気5魚種です。

どちらかというと地物の人によく食べられる人気の魚になります。

地元でこんな魚が食べられてるのかという感じでご覧ください。

第1位 甘エビ

なんと言ってもダントツです。

真っ赤な色合いが売場を華やかにしてくれます。

刺身にする人が多いです。

青い卵を持った子持ち甘エビとない甘エビ両方売場に並びます。

卵がない方が比較的安値ですが卵があると豪華に見えるのか人気です。

ちなみに青い卵をどうやって食べるのか?と聞かれますが、刺身に乗せたり飾りくらいにしかならないでしょう。

たくさんあれば塩辛とかします。

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第2位 のど黒

底引き網漁でとれるのど黒は小さいサイズです。豆のどとかも含まれます。

普通ののど黒は塩焼きで人気ですメチャ高なので庶民にはなかなか手が出ないです。

この小さいのど黒であれば比較的に安値でちょっとしたおかずになります。

なにもこんな小さいサイズ獲らなくてもと言いますが、網に入ってしまうのです。

地元の人はこれを煮付けで食べます。

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第3位 あからばちめ

あからばちめってなんだって感じですね。

一般的にはハツメというようです。

しかしながら北陸特に金沢ではこれが絶大な人気を誇ります。

大きいサイズは塩焼き中サイズは煮付けにします。

輪島のお魚ですが金沢で人気です。

底引き解禁時もこの魚が売上でいうとNo.1になります。

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第4位 口細がれい

底引き網漁といえばやっぱりカレイが人気です。

カレイはどちらかというと自宅で食べるものなのでホテルや旅館の料理メニューにはのりません。

地味な魚ながら地元の人には大人気です。

その中でも口細がれいが一番人気です。

ただ、近年水揚げ量が減って値段も高めになっているのは非常に残念です。

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第5位 笹がれい

カレイが続きます。

笹がれいはカレイの女王と言われ上品な味わいときめの細かい身質が特徴です。

お子さんやご年配の方に人気です。

ちょっと高いカレイですが、底引き解禁になるとみんなこのカレイを地方に送ったりします。

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その他ハタハタメギスも忘れてはいけない人気底引き魚です!

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まとめ

底引き網漁のおかげで日本海側では魚がたくさん種類とれるわけです。

ただ獲りすぎる面もあるということがわかりました。

そこに一定の漁禁止期間を設ける理由もの理解できました。

少し我慢しながらも必要な時にあってくれるのであればそれでいいのではないでしょうか

むしろ禁漁というストイックな期間があって改めて新漁スタートというのも新鮮なものです。

そういう流れで見ていくと底引き網漁解禁がちょっとしたお祭り騒ぎになるのもご理解いただけるのではないかと思います。

それではいよいよ解禁になる底曳漁のお魚、ぜひおいしく食べて楽しんでくださいね!

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<終わり>

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この記事を書いた人

鮮魚アドバイザー・刺身インストラクター・現役水産バイヤー
30年間培った鮮魚の販売、加工、管理技術を初心者に向けてわかりやすく解説。
なかなか教えてくれない秘技裏技も惜しげもなく公開。
一般向けにはみんなが笑顔になるお刺身の作り方ご案内。
すべてが魚食好きの人のために!日夜リアル、WEBで奮闘しています。
有限会社西村研究室(水産コンサルタント事務所)所属

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